思考と読書【お金・健康・人間関係 編】

お金、健康、人間関係に関する本の書評と説明 ビジネス書や自己啓発が多くなると思います なるべく毎週投稿できるように頑張ります

■失敗の科学 を読んで

 

 

書名:失敗の科学

著者:マシュー・サイド

 

●本書を読んだきっかけ

課題本つき読書会の課題本として

レビュー数が多かったので選書

 

●読者の想定

今年、年初に起こったJAL

海上保安庁の衝突事故に関し

乗客全員を避難させた

航空機業界の仕事に感動した人

ぜひ読んでほしいと思った。

本書では、航空機業界、医療業界

司法業界の失敗から学ぶ姿勢の

違いについてわかりやすく

書かれている。

 

●本書の説明

第1章 失敗のマネジメント

気管挿管に何度も失敗したことへの

言及はなく、緊急処置の気管切開が

行われなかったことについても一切

触れられなかった、もちろん、最悪

の事態になる前に、看護師が気管切開

の準備をして医師たちに声をかけていた

ことも。

・航空業界はいまや圧倒的な安全記録を

達成している。しかし、1912年当時に

は、米軍パイロットの14人に8人が

事故で命を落としていた、米陸軍航空

学校でも設立当初の死亡率は25%に

及んでいた。

2013年には3640万機の民間機が

30億人の乗客を乗せて世界中の空を

飛んだが、そのうち亡くなったのは

210人のみ、欧米で製造されたジェット

機の事故率はフライト100万回につき

0.41回、単純計算すると約240万

フライトに一回の割合となる

アメリカでは毎年4万4000〜

9万8000人が回避可能な医療事故

によって死亡している

つまりボーイング747が毎日2機

事故を起こしてるようなものです

あるいは2ヶ月に一回「9.11事件」

が起こっているのに等しい

問題は1日1000件という回避可能な

死亡事故だけではありません。

回避可能な合併症が、1日1万件も

起こっているのです。

・我々は何かとスケープゴート

見つけようとする。

「何か複雑な原因があったのかもしれない」

などとは考えない。

誰もが失敗を隠すようになる。

学習に活用な情報源を、活用する

こともないままに。

・クローズド・ループ現象

失敗や欠陥に関わる情報が放置され

たり開局されたりして、進歩に

繋がらない現象や状態を指す

逆に、「オープン・ループ」では

失敗は適切に処理され、学習の

機会や進化がもたらされる。

・医師たちが、ミスの隠蔽は正しい

ことだと信じ、それを実践している

姿を見て学ぶ、バリンジャー氏

・失敗そのものではなく失敗に

対する姿勢だ、医療業界には

「完璧でないことは無能に等しい」

という考えがある、失敗は脅威

医療業界はこれまで、事故が起こった

経緯について日常的なデータを

収集してこなかった。

・航空業界の改善の原動力は

組織文化の「失敗から学ぼうとする姿勢」

にある。

・燃料不足が一番の脅威であっても

副操縦手も航空機関士も機長を

「サー」と呼んでいた、機長は認識力が

著しく低下していたが

権威ある相手を前に萎縮した、

社会的圧力、有無を言わせぬ上下関係が

チームワークを崩壊させた。

しかし、航空業界は失敗後の対応が

医療業界と違った

医療業界は「言い逃れ」の文化が

続いている。ミスは「偶発的な事故」

「不測事態」と伝えられ、医師は

「最善を尽くしました」と一言いって

おしまいだ。

しかし、航空業界は失敗と誠実に

向き合い、そこから学ぶことが

業界の文化なのだ。彼らは失敗を

「データの山」と捉える。

・集中力は、ある意味恐ろしい

一つのことに集中すると、他の

ことには一切気づけなくなる。

・二つのグループに簡単なタスク

難しいタスクを与えると

簡単なタスクを与えたGPは時間感覚

は正く、難しいタスクを与えた

GPは実際よりも40%も短い

時間を答えた。

・医療業界は当事者の視点でしか

ものを見ていないため、潜在的

問題に誰も気づかない

CRM訓練の焦点は、上司に

自分の意見を主張するための手順

を学ぶ。

・心理学者はよく、「すでに正しい

答えがわかっている」失敗と

「答えがわからない失敗」とを区別

医療ミスは前者

・生存者バイアス

帰還したコクピットと尾翼に

穴の跡がなかったのは、そこを

撃たれたら帰還できなかった

からである。

コクピットの人間工学的デザインは

B-17戦略爆撃機の悲惨な着陸事故

を契機に生まれた、CRM訓練は

ユナイテッド航空173便の事故を

教訓に生まれた、どれも逆説的な

成功で、失敗があったからこそ

成功が生まれる。

・科学は失敗が徹底的に論じられ

さらにそのほとんどは修正されて

しかるべきに修正される、数少ない

おそらくたった一つの人間活動だ

だからこそ、科学は失敗から学ぶ

学問だと言えるのであり、その

賢明な行動によって進歩が

もたらされる。

・占星学の予測は、どうしようもなく

曖昧である。

カール・ポパーアドラー

「こういう例は、もう1000回も経験

しているからね」と言った事に対し

「ではこの事例で、あなたの経験は

1001回になったわけですね」

あらゆるものが裏付けの材料になる

からこそ、アドラー支持者には

強力に説得力のある理論だと映った

一見すると強みに見えたものは

実は弱点でしかなかった。

・航空業界はいわば反証に当たる

ちょうど科学理論の反証が進歩

をもたらすように

・ある職種では経験や訓練が大きな

意味があり、他の職種では全く

意味がない。

・チェス選手や看護師は常に間違いが

チェックされる、だから毎回考え直し

改善し、適応していかなければ

ならない。(集中的訓練)

・患者が心理療法師に気遣って

状態が良くなっていると誇張する

傾向があることは、よく知られている

・間違いを教えてくれるフィードバック

がなければ、訓練や経験を何年

積んでも何も向上しない。

・科学は反証可能である、だから

新たな理論が常に現れ、消えていった

過去の理論は現在の理論の貴重な

踏み石となった

トヨタでは組み立てラインで

ミスや問題が起こると、作業員が

直ちに非常停止コードを引っ張って

ラインを一時停止させる。

・失敗から学ぶには二つの要素

①システム

学習チャンスを最大限に活かす

システム作り

②スタッフ

スタッフからの情報提供がなければ

何も始まらない

・人は信じたいことを信じる

中世の医者は瀉血を信じて患者も

家族変えも殺した

壊血病の原因を突き止める実験

4隻のうち1隻の乗組員に1日

3杯のレモン汁を飲ませた。

公開の中間地点で飲ませなかった

3隻の278人の船員のうち

110人が壊血病で死亡したが

レモン汁を飲ませた船員は全員

生き残った(1601年)

・航空事故の調査レポートは

情報を(精製して)現実的に

要点をまとめてある。

・2001年以降の米軍の死亡者は

病理解剖を行い銃弾・爆弾・散弾

による損傷について重要なデータ

を得た。

それ以前はき弱な装備のまま

死の危険に晒されていた。

・・医療スタッフは失敗を不名誉

なものと受け止め、エラーマネジメント

の訓練をほとんど、あるいは

一切受けていない。

 

第2章 人は嘘を隠すのではなく信じ込む

・ある裁判で心身障害のある青年の

自供だけが判決の決め手となった

物的証拠も無しに

・腫瘍がないのに「ある」という誤診

「第一種過誤」で「過剰のミス」

腫瘍があるのに「ない」という誤診

「第二種過誤」で「不足のミス」

・都合の悪い事実に目をつぶっていれば

何も学べない。だがこれこそ

誰もが無意識のうちに陥る罠だ。

しかも驚くほどに深みにはまって

しまう。

・警察・検察・裁判官の姿勢は

自分達と異なる意見はまるで

受け付けない。

「司法制度は完全無欠であり、それに

異論を唱えることこそ思い上がりだ」

と考えている

1984年9月10日 DNA鑑定の

礎を築き犯罪に革命を起こす

・イギリスでは人口の約48%が

O型であるという統計がある。

・2005年までに300人を超す

受刑者の無罪がDNA鑑定により

確定した、DNAサンプルが保存

されている場合、イノセンス

プロジェクトが関わったケースの

約半数が無罪放免となった。

・全米で1973〜1995までに

下された死刑判決の3件に2件が

憲法上の過誤を犯していたとして

後に判決を覆された

・DNA鑑定によって無実の人が

自由を取り戻す道のりは耐え難いほど

困難である。時には狡猾に

時には徹底的に、司法制度に

何度も足止めをくらう。

カルト教団で教祖の予言が外れたあと

信者はどんな行動を取るか?

何事もなかったかのように

それまで通りの行動をはじめた

以前より熱心な信者になる者も出た

信者たちは自分達の信念を変える

ことはせず、事実の「解釈」を

変えてしまった。

・多くの場合、人は自分の信念と

相反する事実を突きつけられると

自分の過ちを認めるよりも、

事実の解釈を変えてしまう。

次から次へと都合のいい言い訳を

して、自分を正当化してしまう。

ときには事実を完全に無視して

しまう場合もある。

「自分は詐欺師を教祖と崇めていた」

と認めることが苦痛でなくて

一体何だというのだろう

鍵となるのは「認知的不協和」だ

・自分の信念と事実が矛盾すると

自分の信念が間違っていたと

認めるより、否定し、事実を

あるがままに受け入れず、自分に

都合のいい解釈をつける。

あるいは事実を完全に無視したり

忘れたりしてしまう。そうすれば

信念を貫き通せる、

ほら私は正しかった!

騙されてなんかいない!

・参加した討論会が、嘘のように

つまらなかったらどうだろう

つまらなかったと認めることは

わざわざ頑張った自分がバカ

だったと認める事になる

・認知的不協和が誰の心にも根深く

潜むことを明らかにしたのは

フェスティンガー最大の偉業

人は自分の信念にしがみつけば

しがみつくほど相反する事実を

歪めてしまう。

・大多数の検事は自分がやってる

ことは単なる仕事ではなく使命だ

と捉えている。彼らは自分達の

能力に強い自負がある。

・認知的不協和のドミノ倒し

何か一つ勝手な解釈をすると

次から次へと連鎖反応が起こり

もう止められない。

不当な有罪判決が新たな証拠に

よって覆されても、国は何の

記録もとどめない。判事が

たった一行命令文を書けば終わりだ。

・認知的不協和が何よりも

恐ろしいのは、自分が認知的不協和

に陥っている事に滅多に気づけない

点にある。

意図的に人を欺く行為は少なくとも

マシな点がある。欺いている側が

それを自覚しているのだ。

一方、無意識の欺瞞は自分自身を

欺き、かつ自覚されることが少ない

・認知的不協和は医師、検察官

カルト教団のメンバー、世界的に

著名なビジネスリーダー、歴史学者

経済学者、そのほか誰にでも

起こり得る。

・明晰な頭脳を誇る高明な学者ほど

失敗によって失うものが大きい

だから世界的に影響力のある人々が

必死になって自己正当化に陥って

しまう。

・世界情勢の予測を専門家と学生に

実施してもらい的中率を見ると

少し専門家が多く的中したものの

大差はなかった、最も驚くべき

発見は、本を出せばサイン会を開く

様な有名な専門家の予測が一番外れて

いたことだ。テットロックは言う

「皮肉なことに有名なら有名なほど

その予測は不正確になる傾向があった」

・50社企業の調査では、組織の

上層部に行けば行くほど、失敗を

認めなくなることが明らかになった

認知的不協和の影響で目の前が見えず

最も失敗から学ぶことができていない

のは、最も失うものが多いトップ

の人間なのだ。

損切りできず恐怖から、下落した

株を延々と持ち続ける

「いつかきっと利益が出る」と自分に

言い聞かせながら。

これが「気質効果」である

プロのトレーダーも例外ではない

勝ち株より負け株の方を約25%

も長く持ち続ける。

自分の仮説が「間違ってるかどうか」

を確認すれば、ずっと短時間で

正解を導き出せる。

・必要なのは自分の仮説に反する

数列で検証すること、しかし

ほとんどの人は間違った仮説から

抜け出せない。

・我々はつい、自分が「わかっている

(と思う)こと」の検証ばかりに

時間をかけてしまう、しかし本当は

「まだわかってないこと」を見出す

作業の方が重要だ。

・仮説や信念が失敗から守られている

共産主義国家によってではなく

我々自身の手によって。

・我々は何かを「見た覚えがある」

と言うときは頭の中でその出来事の

録画が再生されているような

気がする。

記憶は脳全体に分散するシステムで

あらゆる種類のバイアスの下にある

つまり、それだけで影響を受けやすい

全く別々の経験の一部を集めて

一つの出来事につなげてしまう

ことさえある。

我々は「実際に見たこと」より

「知っていること」に記憶を一致

させる傾向がある。

・「教室に入る前に、最初の航空機

がニューヨークのツインタワーに

突入するのを見た」と何度も発言した

ブッシュ元大統領は、後から

得た情報と経験をつなぎ合わせて

新たな記憶を作り出した。

ちょうどタイソンと同じように。

 

第3章 「単純化の罠」から脱出せよ

・生物科学者チームは、あえて

「失敗」した、そして今度は「成功」

モデルを基準にして、少しづつ

違う変更を加えた型を作ってテスト

同様のプロセスを何度も繰り返し

「これだ!」というノズルに辿り着く

・進歩や革新は頭の中で組み立て

られた計画から生まれるものではない

生物の進化もそうだ、進化に

そもそも計画などない。

生物たちが周りの世界に適応しながら

世代を重ねて変異していく、

最終的に出来上がるものは

誰も予測しえない

・失敗から学ぶにはマインドセット

が必要である。

つまり「選択の繰り返し」によって

起こる、適応力の強い個体が

生き残って孫を残すと。

その中から突然変異によって

さらに強みを得た個体が生まれ、

その後次々と世代を重ねて進化が

進む。

・累積淘汰は何らかの「記憶システム」

があれば機能する。

・頭で考えたアイデアがどれほど

秀逸でも、成功のためには実際の

試行錯誤が欠かせない。

・自由市場のシステムは失敗が

多くても機能するものではなく、

失敗が多いからこそうまくいく。

・技術革新のプロセスは

「線形モデル」と呼ばれる簡単な

フローチャートで表せる。

「研究+科学理論→

新たなテクノロジー→実用化」

産業革命も、それ以前の科学革命

に大きな影響を受けて起こった

と考えられている。

・実践的な知識を備えた職人たちが

生産性の壁を打破するために

失敗と学習を繰り返しながら

開発に取り組んだのだ

テクノロジーの進歩の裏には

論理的知識と実践的知識の両方

の存在があって、それぞれが

複雑に交差しあいながら前進を

支えている。

・「正しいかどうかを試してみる」

には大きな障壁がある、ついつい

「どうせ答えはもう分かっているんだ

から、わざわざ試す必要もないだろう」

・人がもっともらしいと感じる説は

シンプルだ、抽象的ではなく具体的で

偶然よりも誰かの才能・愚かさ・意図

などが大きな役割を担う。

起こらなかった無数の物事より

ほんの2、3の目を引く現象に目を

奪われてしまう。間近に起こった

特徴的な出来事なら何でも、後講釈

の題材になり得る。

・完璧主義の罠

①ベッドルームでひたすら考え

抜けば最適解を得られるという

誤解。

②失敗への恐怖

・ある陶芸クラスでは、全作品中

最も「質」の高い作品を出したのは

「量」を求めたグループだった。

・早い段階で試作品(MVP)を公開

アーリーアダプターの反応を見る

開発のプロセスにアーリーアダプター

を呼び入れ試作品を試してもらう

実際に検証しデータを分析して

初めて、進化のプロセスに必要な

正しい評価ができる

・青少年犯罪者に刑務所の囚人たち

に怯えながら、過酷な現実を見せる

プログラムでは目覚ましい効果が

上がったかに見えた、

後の検証によって、刑務所を訪問

した子供達の再犯率は高くなる

ことがわかった。

当初の統計データはアンケートに

答えた家の子供達だけだった

「選択バイアス」以上に深刻な

問題があり、反事実を無視していた

新たなデータで介入群と対象群を

比較すれば結果は明らかだった

子供達にとって囚人に怒鳴り散らされた

経験は心に傷を残した。

結果、犯罪を助長し再犯率が28%

も上昇したと言うデータも複数

見られた。

瀉血法の治療では元気になった

患者は会う人会う人に瀉血の効果を

言いふらしたが、瀉血で命を落とした

人はどうか、死人に口無しだ

もし瀉血法を行わなかったら

そうなっていたのか?

「◯◯をしなかったら、起こって

いたかもしれないこと」は

検証実験において「反事実」と

呼ばれる。

「介入群」は瀉血療法を受け

「対照群」は受けない、この検証方法

を「ランダム化比較試験(RCT)」

と言う。

・現実は曖昧でわかりにくい

失敗の方がずっと多い、成功に

見えたものが実は失敗だったり

その逆もある。そもそも

失敗かどうかわからなければ

失敗から学ぶことはできない

ランダム化比較試験(RCT)は

検証精度を高め、灰色の問題に

白黒をつけてくれる。

・RCTを実施するには長期的・

包括的に結果を見守ることが

極めて重要

・行政分野の多くでは、直感や

勘、個人的な思い入れに頼って

いる。

・人は自分が深く信じていたことを

否定する証拠を突きつけられたら

考えを改めるどころか強い拒否反応

を示し、その証拠を提示した人物

を攻撃しさえする。

・まじめ腐ったデータより、大げさで

派手な物語の方が遥かに人を

惹きつける。

 

第4章 難問はまず切り刻め

・アフリカへの教育援助

教科書を無料配布した学校の成績は

配布しなかった学校の成績と変わら

なかった。

また視覚教材による学習向上効果

の検証でも介入群と対照群の成績を

比較しても違いは見られなかった

しかし駆虫薬配布のプログラムは

大成功だった、子供達の身長は伸び

学校の欠席率は25%も下がった

しかもコストはほとんどかからなかった

・本当に効果があるかどうか

それがわからない時はRCTを

実施して答えを見つけるしかない

・もっと小さなレベルで

何が有効で何がそうでないかを

見極めることが必要

・F1レース(メルセデス

リハーサルすると頭で考えていた

時に見過ごしていた要素が見えてくる

そこで次の段階で、データの測定

方法を重点的に改善する。

戦略を実行に移し、有効かどうかを

検証する。うかくいかなければ

問題を突き止めて改善する

メルセデスは検証に必要なあらゆる

データを得られるようにセンサーを

作ってフィードバックを強化

戦略の改善を始めるのはその後

問題に関わる全てのデータへの

理解を深めてから、正確なデータが

作業手順の最適化に役立つ

現代のF1で成功する秘訣は

大きな目立つ要素より、何百

何千という小さな要素を極限まで

最適化することです

検証したデータを元に、判断力tp

創造力を動員して最高の解決策

を探っていく、成功は検証と

複雑な相互作用によってもたらされる

Googleが選んだ「最高の青色」

トップデザイナーの提案の青色

でクリック率が上がるかどうかの

問題に対しプロダクトマネージャーは

わずかに緑がかった青を用意

検索ページを開くとランダムで

どちらかの青が出るようにし

RCTで効果を調べた、結果は

緑がかった青がクリック率が

高かった。

さらに系統的な検証を行い

全41種類の青を用意し再度RCT

を実施した。具体的な分析をして

最適な青を見つけることに成功

同社は2010年時点で年間に

12000という驚くべき数のRCTを

実施している。

青の色調を変えた結果年間売上は

2億ドルもアップした。

・肝心なのは誠実に自分の失敗を

認める姿勢と、その失敗から

学ぼうとする意思だ、それさえあれば

マージナルゲインはそんな組織にも

ほぼどんな問題にも応用できる

アプローチである。

・大食い選手権

自分のトレーニングの様子を録画

データをとり、さらに少しづつ

違う方法を試した。

 

第5章 「犯人探し」バイアスとの闘い

・何か間違いが起きると人はその

経緯よりも「誰の責任か」を追求する

ことに気を取られる傾向がある

自分の失敗を隠す「内因」が

認知的不協和だとしたら「外因」

とも言えるのが非難という

プレッシャーだ。非難の衝動は

組織内に負のエネルギーを生む

ミスを犯しても不当に非難され

なければ当事者は自分の偶発的な

ミスやそれに関わる重要な情報

を進んで報告するようになる

・実際に何が起こったのかを理解

する前に勝手な非難をするのは

全く無意味だ。悲劇の「犯人」を

吊し上げれば、ひとまずの満足は

得られるかもしれない、そういう

考えの方がシンプルだ

大失敗は一部の「腐ったリンゴ」の

せいだということにすれば

企業のイメージを損なわずに済む

・非難傾向の低いチームでは

ミスの報告数は多かったが

実際に犯したミスを比べると

懲罰志向のチームより少なかった

懲罰を強化したところでミス

そのものは減らない。

ミスの報告を減らしてしまうだけだ

今日の経営学では「懲罰文化」と

「放任文化」を対比することが多い

ここで問うべき質問は

「処遇を判断する立場の人を、

スタッフは信頼しているか?」

裁く側の人間を信頼することが

できて初めて人はオープンになり

その結果、勤勉にもなるのだから

・懲罰思考は「規律と開放はお互いに

相容れないものである」という

間違った信念の上に成り立っている

・我々の脳には一番簡単で一番直感的な

結論を出す傾向がある。

「根本的な帰属の誤り」

・調査官は最初の直感で、ほぼ

10件中9件は「操縦士のミス」だと

考えることが明らかになっている

パイロットは何を考えていたんだ」

サブプライムローン

投資銀行ばかりに非難が集中したが

大勢の人が返済不能な額の住宅

ローンを組み焦げ付きを起こして

いた

・バンクオブニューヨーク勤務時

同僚はブースの壁に

①期待

②幻滅

③パニック

④犯人探し

⑤無実の人を処罰

⑥無関係な人を報奨

・まず早計な非難をやめることだ

・「犯人」を見つけ出し同じぐらい

恐ろしい目に遭わせようとする

動きが起こることがある

誰かをスケープゴートにしなければ

自分たちの身に危険が及ぶかも

しれない、懲罰志向の文化では

こういった事態が起こる

非難が人の心理にもたらす影響は

大きい。安全重視の業界では

特にそうだ。

避難したり訴えても、それで

説明責任が強化されたという

証拠は一つも出ていない。

・ミスに対して前向きな態度を

とることで定評がある航空業界

でさえ、非難の衝動と完全に

無縁ではなかった。

我々が非難の衝動と決別する

ためには相当な努力と覚悟が

必要となることを意味している。

 

第6章 究極の成果をもたらすマインドセット

・エラー関連陰性電位(ERN)

脳の全体上皮膚に生じる信号で

エラーを検出する機能に関連

失敗に気付いた後、50ミリ秒

ほどで自動的に現れる

・エラー陽性電位(Pe)

失敗の200〜500ミリ後に

生じる信号で、自分が犯した

間違いに意識的に注目するとき

に現れる反応。

・Pe反応に大きな差が出た

成長マインドセットの被験者の

反応は固定型マインドセット

被験者に比べてはるかに強かった

成長型の反応は3倍にも上がった

固定型マインドセットの被験者は

間違いに注目していなかった

むしろ無視していた。

個人でも組織でも、失敗に真正面

から取り組めば成長できるが、

逃げれば何も学べない。

・固定型マインドセットの子は

いともあっさり自分の能力を

過小評価し、失敗を自分の知性

のせいにしはじめた。

・「社内で不正や非倫理的な行為

が頻繁に見られるか?」

という質問に対して、

「いいえ」と答えた社員は、

成長型マインドセット企業の方が

固定型の企業より41%も多かった

・「グリッドスコア」の方が

「全候補生スコア」よりはるかに

高確率で誰が精鋭かを指し示し

ていた。

立派な資質があろうとも、やり抜く

力がなければ、困難にぶつかって

脱落してしまう。

困難も成功への道のりだと考えず

失敗から逃げてばかりになる。

「やり抜く力」は成長型マインドセット

と密接な関係がある、肝心なのは

成功や失敗をどう捉えるかだ

・成長型マインドセットの人ほど

諦める判断を合理的に下す

「自分にはこの問題に関するスキル

が足りない」という判断を阻む

ものは何もない。彼らは自分の

欠陥を晒すことを恐れたり恥じたり

することなく自由に諦めることが

できる。

アメリカの起業家は最初の

ベンチャーが失敗しても、そこで

諦めることは滅多にない

日本では失敗は不名誉なものと

される傾向が強い、失敗は

自分だけでなく家族にとっても

恥なのである。

世界銀行のデータによると

日本の年間起業率はOECD諸国

のなかで最下位

起業失敗に対する恐怖心が最も

高かったのは日本人だった

アメリカ人は最低クラスだった

現在アメリカでは8人に1人(11.9%)

が起業活動に従事している。

「企業に関するスキルは自分で

伸ばすことができる」と考える

傾向が世界一低いのは日本人だった

・イギリスとアメリカでは数学は

一般的に「できる」か「できない」

かのどちらかだと考える。

数学は向き不向きがあると考える

イギリス人とアメリカ人の心理に

深く根付いている。

他の科目についてはそのような

傾向は見られない。

しかし、日本では数学は言語の

ように努力すれば上手くなるもの

という認識である。

・成長型マインドセットで物事

を考えれば、失敗から学べる。

失敗から学べれば、進化が

もたらされる。そしてこの

進化のメカニズムこそが、人や

組織の成長を加速する。

 

終章 失敗と人類の進化

古代ギリシャ時代で流れが変わった

「神格化された事実が受け継がれる

時代は終わり、思想を批判的に

検証する理性的な時代が始まった。

科学手法の幕開けだ。誤りは災厄から

好機へと変わった」

科学的な知識は、静的なものではなく

動的なもの、権力者から受け継がれた

ものではなく、批判的研究によって

自分で身につけられるものという

意識に変わった。

アリストテレス哲学とともに

キリスト教の教義に相反するもの

は、すべて冒涜とみなされ、

異議を唱えるものは処罰された

・認知的不協和によりガリレオ

発見は一蹴された

・うまく理論が成り立たない場合は

その考えを進んで改める

一部の政治家は自分の洞察を

勝手に真実と確信し、データも

検証も必要ないと考える。

・自然科学では進んで検証が行われたが

社会科学ではそれがほぼ忘れられ

てきた。2004年までに教育学分野

で行われた対照実験はほんの10件

・社会科学については我々は直感的

な発言をすることが多い。

・次の質問に答えてみてほしい

①あなたは判断を間違えることが

ありますか?

②自分が間違った方向に進んでいる

ことを知る手段はありますか?

③客観的なデータを参照して、

自分の判断の是非を問う機会は

ありますか?

※すべて「いいえ」なら、あなたは

学習していない。

心理療法師のほとんどは、

客観的データではなく「観察」

によって患者の経過診断を下している

心理療法師には治療が上手くいっている

かどうかのデータが必要だ

データとフィードバックは有意義な

進化の舞台に明かりを灯す

ポイントは判断力を養える環境を

作ること。間違いを警告してくれる

「信号」をシステムの中に取り入れる

パイロットスキームはあくまで

「仮説」を検証するためのものであり

都合のいい「裏付け」を取るための

ものではないということだ。

成功欲求は、本実施の成功を阻む

・ナレッジユニット

RCTを利用した様々な社会実験を

実施しており、その数はイギリス

政府がこれまで行ったRCTの数

をすでに超えている。

・事前検死

検死をもじった造語で、プロジェクト

が終わった後でなく、実施前に

行う検証を指す。

まず、チームのリーダーはメンバー

全員に

「プロジェクトは大失敗しました」と

告げる。メンバーは次の数分で

失敗の理由をできるだけ書き出す。

責任者から順に理由を一つづつ

理由がなくなるまで行う。

事前検死はプロジェクトの中止

ではなく強化にある。

・マージナル・ゲイン、

リーン・スタートアップ、

RCT、事前検死、状況に応じて活用し

成長型マインドセットを持ち続ければ

どこまでも可能性が広がる進化の

プロセスを力強く歩んでいける

だろう。

 

エピローグ

謝辞

この本を書いて一番楽しいのは

目から鱗が落ちるような書籍や

論文に出会えることだ。

 

●本書から得られた新しい知識

・優越コンプレックス

あらゆる人間の行動は自分を向上

したいという欲求から生まれる

(優越性の追求、理想の追求)

アドラー心理学

心理療法を対象にしたある調査

では免許を持ったプロと、研修生

の間に治療成果の差は見られなかった

大学入学審査員、企業の人事担当者

臨床心理士についても同様の研究結果

・エルグラード・タイソンは

世界で最もセクシーな天体物理

学者にも選ばれた。

相転移

物質がある相(液体)から別の相

(気体や個体)へ変わるプロセス

・アマ絵里香の企業は毎年その10%が

事業に失敗して消え去る。

「創造的破壊」

・「原論」

ユークリッドが書いた数学の名著

・「講釈の誤り」

ニコラス・タレブの造語で

後解釈、「物事が起こってから、後付け

で因果関係やストーリーを組み立てること」

を指す。

我々は知らず知らずのうちに、目に

見えるものを特定のパターンに

当てはめて考え、そこに後から

最もらしい解釈をつけて満足して

しまう。

・1978年当時のアメリカの重犯罪

の約半分が10〜17歳までの青少年

によるものだった

強盗犯(54%)、自動車窃盗犯(53%)

を占めた。

・投薬ミスで全米で毎年130万人の

患者がその被害を受けている

一回の入院につき平均1〜2回

の投薬ミスが起こっている

・地上1000フィートに到達する

までに誘導電波を受信できなければ

ゴーアラウンド」するというのが

規定が定めるルール

ベッカムは半年でリフティング

50回、その半年後には200回

に上達、9歳になる頃には2003回

という新記録

公園で練習したフリーキックの数は

5万回を超えていた

・固定型マインドセット

知性や才能はほぼ固定的な性質

だと捉えている。

・成長型マインドセット

知性も才能も努力によって伸びる

と考える。

・神コンプレックス

ベテラン医師が自分の失敗を

受け入れられない、あるいは

失敗が起こり得ることさえ

認められない心理状態。

▼サイト

エレイン・ブロミリーの最終報告書

https://studylib.net/doc/18282697/have-you-ever-made-a-mistake%3F

 

●本書に出てくる格言

人の失敗から学びましょう

自分で全部経験するには

人生は短すぎます

ーエレノア・ルーズベルト

失敗に対してオープンで正直な文化

があれば、組織全体が失敗から

学べます。そこから改善が進んでいく

ーカプランー

世界中のどこの医療機関にも

非難と上下関係の文化があります

それを乗り越えるのは非常に困難

ーキャシー・ファーマンー

無実の人間を一人罰するより

10人の罪人を取り逃す方が

まだマシである

ーウイリアム・ブラックストンー

無実の人を刑務所送りにすることは

プロが犯す失敗の中で最悪の

部類に入る。外科医が間違って

健康な人の腕を切断するような

ものだ

ーリチャード・オフシェー

批判的なものの見方を忘れると

自分が見つけたいものしか

見つからない。

自分が欲しいものだけを探し

それを見つけて確証だとらえ

持論を脅かすものからは目を背ける

このやり方なら、誤った仮説にも

都合のいい証拠を何なく集める

ことができる。

カール・ポパー

なぜ一人もユーザーがいないうちから

全ての質問に答えようとするんだ

マッキンゼーコンサルタントに対し)

ーマイク・スレイマーー

ランダム化比較試験(RCT)は近代

科学における最も素晴らしい発明

の一つだ

ーマーク・ヘンダーソン

大きなゴールを小さく分解して

一つ一つ改善して積み重ねていけば

大きく前進できるんです

ーブレイルスフォードー

真の無知とは、知識の欠如ではない

学問の拒絶である

カール・ポパー

私のフリーキックというと、みんな

ゴールが決まったところばかり

イメージするようです。

私の頭の中には、数えきれない

ほどの失敗したシュートが浮かびます

テクニックを極めるには、絶えず

自分を追い込んで努力を続け

なければいけません。その経験が

なかったら、私はきっと成功

していなかった。

ーデビット・ベッカム

私は9000本以上シュートを外し

ほぼ300試合で負けた。

ウイニングショットを任されて

外したことは26回ある

マイケル・ジョーダン

我々が持つ科学知識の大半は

古代ギリシャ人がもたらした

こうした古代ギリシャ人の多大な

貢献のあとは、実に長きにわたって

人類が置かれた状況を緩和し

利益となる実験はほぼひとつも

示されていない

・科学の然るべき真も目標は

人類の生活が新たな発見や知識

に満たされることである。

・人間は一度意見を決めると

何事もその意見を支持するもの

として捉える。

ーベーコンー

 

●本書で得られた気づき

・航空業界の失敗から学ぶ

システムには感服した。

カルト教団と認知的不協和の

話は面白い、多分、悪徳マルチや

霊感商法にも同じような事が

当てはまると思う。

 

●今までの自分の考えと違ったところ

 

●本書の内容で実行してみたい事

とりあえず読書会を開いて

いろんな人の意見が聞きたい

と思う。