思考と読書【お金・健康・人間関係 編】

お金、健康、人間関係に関する本の書評と説明 ビジネス書や自己啓発が多くなると思います なるべく毎週投稿できるように頑張ります

■フェイクニュースの見分け方 を読んで

 

フェイクニュースの見分け方(新潮新書)
 

 

書名:フェイクニュースの見分け方

著者:烏賀陽弘道

 


●本書を読んだきっかけ

知人に勧められて

次回の読書会の課題図書として

再読する

 


●読者の想定

情報弱者の方には読んで欲しい一冊

 


●本書の説明

はじめに

インターネットの普及は

「信頼できる情報をマスメディアから

見つける」という作業をより難しく

した、本書をカオスの海を泳ぐ方法を

知る一助にしてもらえば幸甚です

 


第1章 インテリジェンスが必要だ

・公開情報を情報源にして

相手を分析していく活動を

「オシント=OSINT」という

それに対して人間を情報源に

して聞き出し分析する活動を

ヒューミント=HUMINT」

という。他には通信の傍受や

電話・メールの盗聴などを

シギント=SIGINT」もある

情報を「事実」に近づけるには

オシントとヒューミント

有機的に組み合わせって

いなければならない。

「新聞記事を調べる」のは

公開情報調査の初歩の初歩

著者が勧めるのは有料オンライン

データベース「Gサーチ」

Googleは貼られたリンクの数

でその順位を決めるが

それは世界の関心の順位である

・もう一つの公開情報の調査は

図書書籍を調べる「Amazon」は

書籍と著者のデータベース

として非常に良くできている

Amazonの長所は現在書店に

流通していない本も絶版に

なって古本でマーケットで

しか流通していない本も

同時に検索できる。

・図書館のネット検索システムも

公開情報探しでは威力を

発揮する。

 


第2章 オピニオンは捨てよ

・証拠となる事実の提示がない

「オピニオン」(意見)は

全部捨てて構わない。

・「・・・・感じる。」

という文面だと「根拠はなにか?」

と突っ込まれた時

「いえいえ、筆者がそう感じただけです」

という逃げ道が用意されている

オピニオンは「根拠となる事実を

欠いた記述」を指す

もちろん他人のオピニオンに

耳を傾ける必要はあるが

「事実」に迫ろうとする作業

においては根拠となる事実を

提示していないオピニオンは

捨てるべきである。

・オピニオンが価値を持つ例外は

オピニオンそのものが「事実」

として重要性を持つケース

例)大統領発言など

・聞き手を説得する根拠は

いくつも種類があるが

時代や地域、文化集団によっては

「神様がそう言っている」

「経典に書いてあるから」

「先祖代々そうしている」

「王様がそう決めたから」

が根拠になることもある

・政権が自分の政策に都合が

いいようにマスメディアを

コントロールするのは

洋の東西を問わず、どこの国

でも当たり前である

・「権力」が報道にかける「圧力」

の実例として

①記者の暗殺・誘拐・脅迫・拷問

②検閲

③警察や検察による記者や情報源

の逮捕・投獄

④電話やメールの盗聴。記者の

尾行・監視

⑤経済的介入(広告の差しどめ。

記者の移動あるいは解雇の要求)

⑥税務調査

民事訴訟=スラップ訴訟

記事や番組の内容を名誉毀損

などと主張して提訴する

情報源を提訴する。

・苦情や批判を先読みして

「権力からの苦情が来そうな

報道はやめておこう」と

手控えるような姿勢は

「自己検閲」という報道側

の病理現象である

・「代理話者」が登場した時は

事実が弱いことが多い。

 


第3章 発信者が不明の情報は捨てよ

・「匿名の人から来た情報は、

確認できるまでは事実とは考えない」

「匿名情報は信用しない」

ファクトとしての信用度が低い

からである

・双方の言い分を何度も聞くうちに

「事実」の輪郭が見えてくる

・報道記事には5W1Hを必ず

折り込む

「主語が不明」ということは

「根拠が不明」ということである

・日本の新聞が記事を「原則・無署名」

にしてきた理由は「新聞」という

無生物を記述の主体にする事が

社会的に許されていたからである

西欧型では新聞だろうと雑誌だろうと

必ず書いた記者の署名が冒頭に載る

「記述の主体」がまず明示される

例外は「社説」だけ

・旧メディアの多くは匿名だが

執筆者は匿名でも発信元の

組織は明らかになっている

・インターネット上の「炎上」も

実態は数人〜数十人が騒いでいる

だけ、人間は「誰がそう言っているか

わからない=検証される事がない」

と思うと「事実に正確でなくてもいい」

という誘惑に駆られるものなのだ

・「Yahoo!ニュース」は政治・経済

社会のニュースではウィキペディア

NAVERの記事を参考に貼らない

誰が言ってるかわからないからだ

・匿名発信者は「アキュレンシー

責任が低下している」という

前提で読む

・発信者が匿名でも正確な事実を

運んでくれる場合もあるが

正確さを最終的に確認できれば

それで良い

・事実の裏付けなしに、書き手の

判断が混じった言葉を使った

文書には疑いの目を向ける

・記者時代に使ってはいけない

言葉には「意気込む」「決意を語る」

「胸を張る」「夢を語る」「胸を張る」

「反旗を翻す」「反発する」

ニュアンスが加えられていて

読む人の印象が操作される

 


第4章 ビッグ・ピクチャーを当てはめよ

・空間軸と時間軸を広げる

「ビッグ・ピクチャー」とは

ある事実Fがあったときに

「空間軸」と「時間軸」を広げ

その座標軸に事実Fを置いて

検証し直してみること

(You must see it in a big picture)

ビックピクチャを設定すること

の目的は事実Aの他の事実B

を見つけ出すことだ

・「独立行政委員会ではなく

総理大臣が電波免許を持っている」

というシステムと、それを

根拠づけている法律が報道の

自由に対して抑制的で非民主主義的

であり、間違っている。

iPhoneが音楽再生機能を有し

iPodユーザーは携帯電話と

再生機能を有したiPhoneに移行

iPodの売り上げが下がったことは

ソニーとの競争の結果ではない

・「記者が何を書いたか」ではなく

むしろ「何を書かなかったか」

に注意を向ける習慣を身につける

ウソは書いていないが本当の事も

言っていない場合がある

・メディアは「わからない」と

言いたがらない

 


第5章 フェアネス・チェックの視点を持つ

・「フェアネス(Fairness)」

フェアであるという音葉自体が

キリスト教文化を背負っている

神が人間を裁く時の態度を指す

「良い行いも悪い行いも全てを

考慮してジャッジする」態度が

「フェア」と呼ばれる

・情報の記述がフェアかどうかは

「現実に近いかどうか」

「事実に近いかどうか」

の指標になる、こうしたフェア度

による判定を著者は

「フェアネス・チェック」と呼ぶ

福島原発の吉田所長は

地震津波が来襲すると予想した

情報を握りつぶす」という行為と

原発事故のこれ以上の拡大を

防ぐために命懸けで努力する」

という全くベクトルの逆の行為

を取った

完全な悪人や完全な善人は存在しない

相反する両面を「等しく」「公平に」

見ることが「フェア」なのである

・現実に倦んだ人々はマスメディアに

「現実と反対の、単純化あるいは

理想化された物語」を求める

フェアネス原則を守っているか

どうかは

「報道か、そうでないか」の

リトマス試験紙になる

人間は全知全能の神のように

「神様のビデオに写っている真実」

を100%把握することはできない

・現実や事実から遠いという

点では「ポジティブバイアス」も

「ネガティブバイアス」と

同じぐらい有害である

太平洋戦争当時、日本人を

「好色」「残虐」「卑怯」

「猿のような容姿」

「眼鏡で出っ歯でチビ」と

宣伝していた連合国のプロパガンダ

「ネガティブバイアス」の

典型例である

・3.11の時、略奪が起きなかったのは

コミニティーの規模が小さい

人々はお互いをよく知っている

「お互いがお互いを知っている」

という事が犯罪の抑止力だった

・3.11でコンビニのATMや

壊されて現金抜かれたり

食品が棚から無くなったり

違う場所から避難してきた

人たちによって「窃盗」「略奪」

は存在した

アメリカのウォール・ストリート

ジャーナルでは2011/3/23の記事

で略奪が日本で問題化という

記事を掲載した

・海外に認められた日本の

評価の主体は相も変わらず欧米である

・記者は読者の読みたいような

ストーリーに迎合しているのかも

しれない

・正反対の立場の記事、書籍に

目を通す事が重要

・過ちであっても、それが

社会に共有され「なぜ誤ったのか」

を社会が考えるプロセスこそが

社会全体の知を向上させる

 


第6章 発信者を疑うための作法

・ややこしいのはインターネット

の時代になって発信者の数が

爆発的に増えた

以前はマスメディア企業が

「発信者」を選ぶゲートキーパー

の役割をしていた、しかし

インターネットでは誰にも

「選べばれる」必要がない

マスメディアが発信者を選ぶ

特権は消滅した、信用を担保

する組織やゲートキーパー

消えたのである

・数字は質を保証しない

注目度数が高い発信者は

質の高い言論をしている

とは限らない

その発信する内容を精査しないと

事実として信用できるかどうか

わからない、面倒臭い時代になった

・「正確に引用しているか」

「正確な言葉の定義に忠実か」

「専門の著作はあるか」

「具体的に何の専門家なのか」

をチェックする

フリーアナウンサーの長谷川豊は

女子高生のスピーチ

「お金という現実を目の前にしても

あきらめさせないで欲しいです。

その人の努力に見合ったものが与え

られて手にできる、そういう世界で

あってほしいです」

「努力した人間が、その努力の分

評価される世界になって欲しいです」

とブログに書き換えた

「引用」という「事実の正確性の維持」

に失敗している例である

①引用が正確かどうかで、その

発信者が伝える「事実」の正確さが

簡単にわかる

②発信者が事実の正確さに

どの程度注意を払っているかが

わかる。

・言葉の定義を明確にする事は

論点を明確にする事である

・発信者の名前をまずは

Amazonで検索してみる

Amazonで検索すると

①略歴、生年、学歴、職歴

②過去の著作の有無、著作歴

③著作のペース

④どんな内容の本を書いているか

⑤単著か共著か

⑥書き下ろしか連載か

⑦出版会社、自費出版

・自分独自の「現実をこう見る」

という視点を打ち出し、読者を

納得させる論拠を示すには

最低でも本一冊ぐらいは

どうしてもかかる

・本で発信者の質を知る

①長い期間のコミットメントと

知的作業が必要である

②調査・取材・執筆にかける

力が必要

③構成を考える設計力が必要

④買って最後まで読んでもらえる

魅力が求められる

⑤個人で作業を完結させなければ

ならない

⑥何をテーマに書くかという

着想力が要求される

・信用できる媒体より

信用できる発信者を追う

・3.11で専門家は完全な過ちを

公にしたが訂正しなかった

根拠となる事実がなければ

東大・東工大の専門家でも

「素人同然」だった

専門家たちは科学や合理に

基づいた真実を発言するとは

限らない「利害」や「立場」に

そって発言をする

ステマを根絶することは不可能

発信者が便宜を図って貰ってます

と表記すればいいだけ

アメリカでは「広告社と推奨者の

物質的つながりは全て開示

しなければならない」

ヨーロッパはUCPD

イギリスはPDF

欧米ではステマは禁止されている

日本では野放しである

 


第7章 情報を健全に疑うためのヒント集

【ヒント1】世界は妄想に満ちている

妄想性障害

世の中には一定数、妄想を

広めようとする人がいる

【ヒント2】陰謀史観は相手にしない

陰謀論は「ほんの少しの事実に大量の

空想がブレンドされている」

陰謀論は「陰謀の存在を証明できない」

かつ「絶対に論破されない安全な領域」

から生きながらえている

【ヒント3】企業や政府の宣伝に沿った話は疑う

電通の自粛芝居

「本社ビルの電気を一斉に消し取材させる」

という行為そのものがプロパガンダ

【ヒント4】集団のルールのもとに構成員は動く

相手が従う法律を知っておく

大店法」が存在した時代は

ショッピングモールは作れなかった

【ヒント5】発問のゴールを明確に決めて動かさない

自分の問いかけのゴールは何なのか

具体的かつ明確に決めて

動かさない姿勢が重要

【ヒント6】事実の全貌は時間が経たないとわからない

3.11の時も1年ぐらいかけて

情報が急激に増え立体的・多面的

になった

【ヒント7】ロジックを逆にしてみる

福島第一原発の立地決定より

国の立地指針の方が遅かった

無いものが「ある」と仮定してみる

「外部電源が30分で回復しない」

ということが想定外だった

「どうも筋が通らない」「腑に落ちない」

と感じる時は「何か重要な要素Xが

まだ発見されていない」と仮定してみる 

【ヒント8】断言の強さは正確さとは関係ない

人は何の根拠もない事実とは

真逆の内容を強い断言調で語る

それに疑義を挟む者を罵倒しさえする

そしてそれは多くの場合

善意を装ってさえいる。

「事実に基づいているのか、いないのか」

それだけ問えばよい。

 


●本書から得られた新しい知識

・CIA(Central Intelligence Agency)

が扱っている情報の95%は公開情報

・キアラ・フェラーニ

インフルーエンサー

(177Cmモデル並みの美人)

電波監理委員会

1950年GHQ指導下の元発足

1952年郵政省に統合

弘中惇一郎弁護士

「カミソリ弁護士」「無罪請負人」

と呼ばれる敏腕弁護士

ロス疑惑三浦和義の無罪判決

を勝ち取った

アーレントの教訓

本来人間には

「期待したとおりの現実だけ知りたがる」

「期待に沿わない現実を認めたがらない」

傾向がある

・「絶歌」

神戸連続児童殺人事件の

東慎一郎の手記

・Perception Shaping(認識形成)

意図的に社会の認識を操作する

輪番停電

区域を決めて順番に停電すること

・記者職歴

1〜5年 新人、ルーキー

5〜10年 ミッドキャリア

10年〜15年 ベテラン

清水潔

「桶川ストーカー事件」で警察の

怠慢を暴いた「直接情報」に

近づく取材

・アストロターフィング

広告代理店が無関係の市民を

装って政府に好意的な意見

を発信し世論を偽造すること

▼サイト

・Gサーチ

https://db.g-search.or.jp/

 


●本書に出てくる格言

・記事では、主語が何かわからない

文書は書くな!

・記者の勝手な価値判断が入った

言葉を使うな!

ー著者の元上司ー

 


●本書で得られた気づき

・情報ソースとして

Gサーチ、Amazonの著者検索が

役に立つこと、Yahoo!ニュースは

引用元にこだわっている

・根拠となる事実がない

オピニオンは捨てる

・Xファクターはないかと疑う

 


●今までの自分の考えと違ったところ

 


●本書の内容で実行してみたい事

何か見逃されている真実は何か?

と考える癖をつける。

 

フェイクニュースの見分け方(新潮新書)