思考と読書【お金・健康・人間関係 編】

お金、健康、人間関係に関する本の書評と説明 ビジネス書や自己啓発が多くなると思います なるべく毎週投稿できるように頑張ります

■ニュータイプの時代 を読んで

 

ニュータイプの時代

ニュータイプの時代

 

 

書名:NEWTYPE

著者:山口周

 


●本書を読んだきっかけ

トップポイント上半期ランキング

1位の書籍であり

トップポイントのサマリーを読んで

 


●読者の想定

今、やりたい事が見つからなくて

模索中の人とか

これからの時代を生き抜いていく

若者などには読んでほしい

個人的には南極点一番乗りの

アムンゼンとの話が興味深い

 


●本書の説明

20世紀後半から21世紀初頭にかけて

高く評価されてきた従順で論理的で

勤勉で責任感の強い所謂「優秀な人」は

今後「オールドタイプ」として急速に

価値を失っていくことになる

「価値創出」の源泉が「問題を解決し

モノを作り出す能力」から「問題を

発見し、意味を創出する能力」へ

シフトしている

オールドタイプからニュータイプへの

アップデートが必要だと指摘する

2つの理由は、これまで活躍してきた

人材=オールドタイプが発揮してきた

思考行動様式によって資本主義という

システムが生み出す問題が拡大再生産

されている、システムそのものを

微修正しながら、その中に組み込まれる

人間の思考・行動様式を大きく切り

替える必要だ

物質的なニーズや不満が解決してしまった

状態では問題解決能力がいくら

あっても「大きな問題」がなければ

問題解決能力が富を創出することは

ない、ビジネスは常に「問題の発見」と

「問題の解決」が組み合わされることで

成立します、ボトルネックは「発見能力」

に発生することになる

 


第1章 人材をアップデートする6つのメガトレンド

①飽和するモノと枯渇する意味

人類の長年の夢であった

「差し当たって今日を生きるのに大きな

心配がない」という状況が多くの人に

とって現実のものとなった、私たちは

「モノが過剰で、意味が希少な時代」

に生きてます「意味」がその希少さ

ゆえに価値を持つというのが21世紀

という時代です

②問題の希少化と正解のコモディー化

ビジネスは「問題の発見」と「問題の解決」

が組み合わさる事によって初めて成立

します、両者のうち「少ない方」が

常に社会的なボトルネックとなり

解消できたプレイヤーは大きな価値が

もたらされます

あらゆるモノで「問題」が希少化され

「問題の解決」から「問題の発見」へシフト

「解決能力」は供給過剰の状況に

陥ることになる

③クソ仕事の蔓延

大多数の人々は自分の仕事が社会に

何の価値ももたらしていないと感じている

ことがわかっています

私たちの多くは実質的な価値や意味を

生み出す事のない「クソ仕事」に

携わっている

④社会のVUCA化

VUCAとはVolatile(不安定)Uncertion(不確実)

Complex(複雑)Ambiguous(曖昧)

という今日の社会を特徴づける

4つの形容詞の頭文字を合わせた言葉

「VUCAの進行」はこれまで「良い」

と考えてきた様々な能力やモノゴトの

価値に大きな影響を与える

1つ目が「経験の無価値化」

2つ目が「予測の無価値化」

3つ目が「最適化の無価値化」

「VUCAな世界」では環境が連続的に

変化し続けて、どこかの時点での

環境に高度に最適化してしまえば

それは次の瞬間には時代遅れなもの

となってしまう「最適化という概念そのもの」

の意味合いを考え直さなければ

いけない時代に来ている

スケールメリットの消失

要因は二つあります

1つ目は限界費用のゼロ化

2つ目はメディアと流通の変化

大量に作った製品を大量の広告の

告知し、巨大流通機構に乗せて

売り捌く必勝パターンは齟齬を

きたすようになっている

⑥寿命の伸長と事業の短命化

S&P500の構成企業の平均寿命は

1960年は約60年だったが、今日では

20年足らずしかない

・ここから先は大きく「勝ち創造」

「競争戦略」「思考法」「ワークスタイル」

「キャリア戦略」「学習力」

「組織マネジメント」という7つの

項目に分けて考察を進めてみましょう

 


第2章 ニュータイプの価値創造

1.問題を解くより「発見」して提案する

オールドタイプが「与えられた問題を解く」

ことに長けている一方で、ニュータイプ

はまだ誰も気づいていない問題を

見出し、それを社会に向けて提起します

問題解決の世界では「問題」を

「望ましい状態と現在の状況が一致

していない状況」と定義しています

「望ましい状態」と「現在の状態」

に「差分」があること、これを

「問題」として確定するということ

取り組むべき問題=アジェンダ

明確化は国の、あるいは企業の

あるいは地域コミニティの「あるべき姿=ビジョン」

が明確になって初めて可能になります

問題を生み出すことができないのは

「あるべき姿=ビジョン」が不足

している。ニュータイプとは常に

自分なりの「あるべき理想像」を

思い描いている人のことである

日本の思想史を通覧しても

一貫して存在する「コンテンツ」は

ありません。しかし、一貫して

存在する「モード」があって

「外来のものに無批判に飛びついて

それを呑み込んでいく」という

文明受容の態度がある

P47 まとめ

 


2.革新的な解決策より優れた「課題」

イノベーションは課題になり得ません

なぜなら課題を解決するための手段が

イノベーションだからです

オールドタイプは手段にしか過ぎない

イノベーションを追求する

理由は「イノベーター」という称号

と尊敬が得られるからである

イノベーションとは?定義の最大公約数

となる要件を抽出すれば

「方法論としての革新性」と

「生み出した経済価値の大きさ」の

2点に収斂する、イノベーション

これらの要素の「バックスクリーン直撃

のホームラン」である

イノベーションとして認識されるには

2つの問題がある

1つ目の問題は「経済価値の大きさ」

が事前に確定的に予知できない

極めて不確実性の高い要件である

1987年創業のギリアドは「儲かる訳がない」

と言われていた抗ウイルス剤に

フォーカスを絞ったことで大成功

2つ目の問題点は「方法論としての革新性」

が手法に関する評価指標であり

これを目的にすること自体が

本末転倒である

私たちが事業を行って社会に働きかける

には何らかの本質的な豊かさを

生み出したい、あるいは社会的課題

を解決したいと考えているからです

つまりイノベーションとは

「結果として形成される認識」であって

初めからそこを目指して頑張るもの

ではない

・オープンイノベーション

組織の内部で発生した問題に対して

組織の外部からの解決のアイデア

募るという仕組み

現在多くの国では、そもそも

「解答を出すべき問題=アジェンダ

が明確になっていない場合が多い

解決したい課題が不明瞭な状態で

「何か儲かりそうなアイデア

ありませんか?」とお見合いを

繰り返している

手段を目的に取り違えイノベーション

だけを追求するのは典型的な

オールドタイプの思考様式

セグウェイはなぜ失敗したか?

「どんな問題を解こうとしているのか

ハッキリしない製品だった」

「ソリューションによって解決したい課題」

が希少になりつつある

P61 まとめ

 


3.未来は予想せずに「構想」する

コンピュータサイエンティストの

アラン・ケイは「こういうモノがあったら

素晴らしい」と考えた上でイメージを

具体化して多くの人に働きかけた

「予測」ではなく「構想」だった

ニュータイプは予測ではなく構想する

「未来がどうなるのか?」ではなく

「未来をどうしたいか?」を考える

予測などしても仕方がない理由は

「重要な局面で予測は必ず外れる」

私たちは歴史上何度も経験している

にもかかわらず相も変わらずに

「予測」を求める人が後を絶たない

私たちを取り巻く環境の変化の多くは

天気のように自然に変わって

いるのではなく、どこかの誰かが

イニシアチブを取って動き始めた

ことで駆動されている

未来予測では「シナリオプランニング」

の手法が用いられる

過去に起こった最悪の出来事に

着目して最悪のシナリオを作成し

そのシナリオを用いて将来のリスクを

試算するという手法である

予測は「原理的に不可能」だと

いうことです

・他国における少子化の人口減少の

予測は、これまでほとんど外れた

第二次世界大戦が始まると急に

結婚率が高まり、それにつれて

出生率も大幅に上昇、1965年には

ベビーブームが到来した

・1982年AT&Tはマッキンゼー

対し「2000年時点での携帯電話の

市場規模を予測して欲しい」と

依頼し、マッキンゼーの回答「90万台」

という数値をもとに携帯電話事業の

売却という意思決定をした

実際は市場規模は軽く1億台を突破

した

非連続的な変化に対して専門家の

予測は「原理的に外れるのが当たり前だ」

ということである

P74 まとめ

 


第3章 ニュータイプの競争戦略

4.能力は「意味」によって大きく変わる

イギリスの経済学者ケインズ

「将来の人は週に15時間しか働かなくなる」

と予測し実現した

有史以来、人間を悩ませた「不満・不安・不便」

を解消するために重要な労働は

1日に3時間程度で済むようになった

残りの時間は実質的な価値を生み

出さない「虚業的労働」に陥っている

私たちの労働の多くは価値を

生み出さないクソ仕事に陥っている

リクルートキャリアによると

「働く喜び」を感じていると

答えた人は全体の14%となっており

8〜9割の人は自分の仕事を

どうでもいいと考えており

「意味」「やりがい」を見だせて

いない

仕事に「意味」を与え携わる人から

大きなモチベーションを引き出す

のがニュータイプである

物も金も一旦確定すれば、その後

量は変わらないが、ヒトの能力は

それを導くリーダーの「意味」の

与え方によって簡単に増減する

「意味」を与えることによって

リソースから大きな能力が引き出せる

能力やコンピテンシーは静的な

ものではなく文脈に依存して

大きく変化する動的なものです

何の意味も与えられていない

状態で動機付けされていない

人を評価すれば、その人が発揮する

能力やコンピテンシーは低く

評価される

エスの弟子たちは「キリストの

福音を世界に述べ伝える」という

意味を与えられたため能力や行動は

非連続的に変化した

・ミレニアル世代を対象とした調査では

高い給料をもらうより人のために

なる仕事をしたいというのが44%

勤務先が社会に貢献していると

働く意欲が増す36%

「社会をより良い方向に変化させたい」

というエネルギーはミレニアル世代

の方が高い、発露の仕方や方向性が

違う

・何のために存在する会社なのか?

明確な意味を与える

ピーチアビエーションの井上慎一氏は

「友達がいろんな国にいる

財布の軽い若い人でも、いろんな国に

行ける、そういう航空会社が必要だ

ピーチはそれをやるんです」

とわかりやすい「意味」を持つ

「ヒト」は与えられる「意味」の

豊かさによって放出するエネルギー

の量が大きく変わる

P91 まとめ

 


5.「作りたいもの」が貫通力を持つ

マーケティングの2大パラダイム

「プロダクトアウト」と「マーケットイン」

という概念がある

前者は大量に作って大量に売る

「先に商品ありき」後者はアンチテーゼ

市場のニーズや欲求を精密にスキャン

して顧客のニーズに応える

「先に顧客ありき」という態度から

生まれた考え方である

しかし一方で経営というのは

本質的に差別化を追求する営み

他者と大同小異であれば価値がない

重要なのは人間性=ヒューマニティー

マーケティングの主従関係です

マーケティングは「家来」であり

これを「主人」にするとろくな事はない

まず「世の中にこういうものを打ち出したい」

という人間の思いが起点となり

その想いを実現するための道具として

用いるのであればマーケティング

知識とスキルは強力な武器になる

マルクスは「疎外」という言葉を使って

人間が作ったシステムやプロセスが

人間性を奪って、人間がシステムや

プロセスの奴隷となることを説明した

「世の中をこう変えたい」「こういうものを

作りたい」という主体的な「想い」や

「意味」を構想してこなかった

オールドタイプは「自分はどうしたいのか?」

「何を作りたいのか?」

「何のために生きているのか?」という

哲学的な問いについて考える

脳の機能が萎縮退化してしまっている

・自分が作りたいものに思い切り

こだわって製品を作った場合

「共感できる人」には非常に強い

訴求力を持つ

日本市場に対し5%の出現率は

600万人程度だがグローバル市場

に展開すれば先進国だけでも12億

市場規模は10倍の6000万人になる

「グローバル×ニッチ市場」

結果として市場への提案力という

点においても、コスト競争力

という点についてもグローバル市場の

ニッチセグメントに向けて事業展開

するニュータイプにかなわない

・人の心を動かすような切り先の

尖った提案でなければ情報が

広い範囲にわたって共有される

ことはない

「切り先の鋭さ」ゆえに強い

貫通力を持ち「グローバル×ニッチ」

というポジションを獲得する

P108 まとめ

 


6.市場で「意味のポジション」をとる

グローバルニッチプレイヤーによる

市場の多様化とGAFAに代表される

グローバルメガプレイヤーによる

市場の寡占化は全く矛盾していない

一番優れた検索エンジンを開発した

人物と二番目に優れた検索エンジン

を開発した人を比較すると前者の

パフォーマンスが100で後者が90の

場合、報酬がその比率になることは

ない

これが「相対評価」の市場で

市場が「絶対評価」から「相対評価

へと変化することで勝者総取りが

進行する

・2つの価値軸「役に立つ・立たない」

(機能的便宜の有無)

「意味がある・ない」(情緒的便宜の有無)

自己実現的便宜の有無)

でマトリクスを考えると勝者総取りが

発生するのは1象限(意味がない/役に立つ)

評価関数が発散せず収斂してしまう

タバコは役に立たないが意味がある

マルボロー愛用者は他の銘柄では

代替ができない

日本企業の多くは「役に立つ」市場で

コストを下げ利便性を高めることで

競争に勝つ戦略を追求している

検索エンジンは「役に立つが意味がない」

スジの良い検索結果だけが求められ

そこに意味が介在する余地はない

我が国のトヨタや日産は「役に立つけど

意味がない」快適で安全な移動手段を

提供しているが自分の人生にとっての

意味合いは無い、(100万〜300万)

イタリアのフェラーリランボルギーニ

「役に立たないけど意味がある」

価格帯は2000万〜1億

「役に立つ」ことより「意味がある」こと

に経済的価値が認められている

ということです

これからは「意味」や「ストーリー」

を生み出すことができるニュータイプ

に高い報酬が支払われる時代が来る

・「テクノロジー」「デザイン」は

非常にコピーしやすいためコピー

に対して脆弱であるが、固有の

ブランドが顧客に対して与えている

感性価値としての「意味」はコピー

することができない「意味」には

膨大な情報量が必要でそれを蓄積

するには非常に長い時間がかかる

P124 まとめ

 


7.共感できる「WHAT」と「WHY」を語る

ビジネスで私たちが向き合う大きな

論点には

「WHAT=目的は何か?」

「WHY=それはなぜ大事か?」

「HOW=どうやってやるか?」

の3つがある

しかし、現在のようにVUCAな

世界においては「HOW」だけで

組織を引っ張るオールドタイプの

リーダーシップではモチベーションを

引き出せない

「WHAT=目的」「WHY=理由」も

はっきりしない営みに人は「意味」を

感じることができない

ドストエフスキーは自らの収監体験

から「私の家の記憶」を書いた

バケツの水を他のバケツに移し

終わったらまた元のバケツに移す

といった「全く意味を感じることの

できない仕事」こそが「最も過酷な

強制労働」であり何日もやらされると

発狂してしまう

・1990年後半に日本企業は

欧米企業に追いつき「WHAT=目指すべき

姿」が喪失されたのと同時に

「WHY=働く意義」の説得力もなくなった

あれから30年も経つのに相変わらず

日本のリーダーは「HOW」にこだわり

「WHAT」「WHY」を共感できる

形で示せてない

多くの日本企業が「ビジョン」「中期目標」

ビジョンに求められる最も重要な

要件、それは「共感できる」という

ことです

アポロ計画

【WHAT】1960年代に人類を月に立たせる

【WHY】人類が挑戦しうるミッションの中で

最も困難なものであり、であるが故に

この計画の遂行によってアメリカ及び

人類にとての新しい知識と発展が得ら

れる

【HOW】民間/政府を問わず領域横断的に

アメリカの科学技術と頭脳を総動員

して最高レベルの人材、機材

体制を整える

・グーグル

【WHAT】世界中の情報を整理し

誰もがアクセスできるようにする

【WHY】情報の格差は民主主義を

危うくするものであり根絶しなければ

ならない

【HOW】世界中から最高度の頭脳を

持つユニークなタレントを集め

コンピューターとWEBの力を最大限

に活用する

P139 まとめ

 


第4章 ニュータイプの思考法

8.「直感」が意思決定の質を上げる

企業の意思決定があまりにも論理編重に

傾くとパフォーマンスが低下する

理由は3つある

一つ目は「差別化の喪失」

他人と同じ正解を求めてしまう

二つ目は「方法論としての限界」

VUCA化した複雑で曖昧な世界で

論理的・理性的に意思決定していこうと

すれば合理性を担保できず膠着する

三つ目は「意味を作れない」

意味の創造は論理でどうこうできる

ものではない

著者の主張は「論理と直感を状況に応じて

適切に使いこなす」というしなやかさ

が必要だということ

直感と論理をうまく使い分けるには

「メタ意思決定」が重要になる

直感は意思決定のスピードを速める

だけでなく状況によって論理思考よりも

正確な将来予測を可能にする

意志決定に必要な「将来の予測」では

大量に情報を精査しすぎると

逆に情報それぞれがばらつきに

予想モデルが左右され過ぎてしまう

傾向がある

・「意味がある」方向でパフォーマンス

を高めたいのであれば「論理」は

役に立たずセンスに代表される

「直感」が決め手になる

・「役に立つ」という方向に成長させる

のであれば相対的に「論理」が重要に

なり「意味がある」という方向に

成長させたいのであれば「直感」が

重要だ

・過剰なものはことごとく論理と

理性によって生み出されている

希少なものは直感と感性によって

生み出されている

P154 まとめ

 


9.「偶然性」を戦略的に取り入れる

エサを見つけたアリが仲間に知らせる

ためにフェロモンでルートを知らせるが

最短ルートを知らせる真面目アリと

間違えて進む間抜けアリがいる

結果的には「短期的な非効率」が

「中期的な高効率」につながる

短期的な生産性を高めるにはエラーも

遊びも排除して、ひたすら生産性

を高めるのに頑張るのが得策だが

中期的な偶然の発見はもたらされない

何の役に立つのかだけの回答を

求めれば偶然がもたらす大きな飛躍

は得られない

・用途市場を明確化しすぎると

大きな価値創出の機会を逃す

ことになりかねない一方

用途市場を不明確にしたままでは

開発は野放図になり商業化はおぼつかない

重要になるのは「何の役に立つのか

よくわからないけど、なんかある気がする」

というニュータイプの直感

世界を変えるような巨大なイノベーション

の多くは「何となく、これはすごい気がする」

という直感に導かれて実現している

まとめ P163

 


10.ルールより自分の倫理観に従う

・組織の同調主義=コンフォーミズム

が強く働く日本企業において「わがまま」

は最も忌避される人格特性の一つ

決められたルールに従う事は2つの問題点

がある

一つ目は、そもそも規範そのものに

倫理的な問題がある、私たちが現在

考える事なく無批判に従っている

規範の多くも、これから「後」の時代

の人々から見れば無知蒙昧な野蛮な

ものに見えるだろう

二つ目は、そのような考えが強く働き

すぎる事で、しばしば逆の命題が肯定

されるという点です

「立脚点になるようなルールが存在

しないのなら何をやってもいいのだ」

という考え方です

一方、このような考え方に対して

自然の人間の本性に合致するかどうか

その決定が「真善美」の則るもので

あるかどうかを重んじる法哲学

自然法主義と呼びます

・ただ単に「違法ではない」という

理由で倫理を大きく踏み外して

しまった場合、社会的な制裁を

加えられてしまう恐れがある

明文化されたルールの整備がシステムの

進化に追いつかない世界においては

自然法的な考えが重要になってきます

つまり内在化された価値観や美意識に

従って「わがまま」に判断する事が

必要だ

・テクノロジーと人間の関係性を

あくまで「人間が主、テクノロジーが従」

という関係に保ち豊かで人間的な

世界の建設に用いようと思うなら

私たち人間側は、改めてルール以外の

立脚点を持つ事が必要である

P175 まとめ

 


11.複数のモノサシを同時にバランスさせる

「量」はパフォーマンスを測る上で

とても重要なモノサシだった

GDPの例だと「豊かさ」を示す指標

として便利であったが一定水準を

超えると幸福度などの質的指標と

ほとんど相関がなくなる

「量的指標の無意味化」

・「役に立つ」という機能軸で

量的向上をひたすらに目指して

やってきた日本企業の多くは

それ以外の軸で価値提供を考える

事ができず相も変わらず量的向上

を目指している「生産性低下の王道」

を爆進している

(無意味な量的向上による生産性低下)

本当に問わなければならないのは

「経済に代わる、新しい質的な指標は

何か」という問題である

私達は経済という指標とは別に

社会の健全性や幸福の度合いを

複眼的に計測し管理する指標を

用いるべき時期に来ている

経済指標に代わる「質的指標」を

並立させ、これをしなやかに

使いこなすニュータイプ

・「複数のモノサシを同時に当てる」

日本人のデュアルスタンダードな

考えはアメリカ人にとっては

驚くべき思考様式である

・日本人は中国語ををそのまま取り入れず

当時日本人が使っていた言葉を

そのまま残し、そこに漢字を当てはめた

私たちのシステムは1つの大きな

システムの中に複数の出自のもの

が渾然一体となって溶け込んでいる

デュアルスタンダードである

・「意味の市場」では顧客価値が

数値化できない、このような市場に

おいて、量的指標をデュアルスタンダード

の一方に置きながらも、定量化できない

質的な側面での価値判断も含めて

総合的・直感的に判断していくのが

ニュータイプである

P186 まとめ

 


第5章 ニュータイプのワークスタイル

12.複数の組織と横断的に関わる

なぜこれ程まで多くの経済活動が

市場ではなく企業組織の中で

社会主義国家のような統制と管理に

よって取引されているのか

市場が社会における適切なリソース

の配分を実現してくれるのであれば

誰もがフリーエージェントとして

働き必要に応じてプロジェクトを

組んで共同し終了後は解散するという

やり方こそ最も効率的であるのに

なぜ多くの人は大規模で官僚的な

組織に所属し、その中で経済活動を

行っているのだろうか

【検索費用】取引相手を探す探す費用と時間

【交渉費用】合意に至るまでの費用と時間

【契約費用】有効な契約にするための費用と時間

【監視費用】契約するかどうか監視するための費用と時間

これらは全て「情報」に関わる問題で

デジタル技術と相性がいい問題である

一連のデジタル技術はその関係を

逆転させ企業組織に対する

労働市場の優位性を押し上げる

可能性がある

・各種の統計はフリーエージェント

増加傾向にある、現在日本には

1000万あまりのフリーエージェント

存在し、その数は増加傾向にある

・「利益率と規模のV字の谷」

縦軸に利益率、横軸に売上高を

スモールプレイヤーは今後

スケール面でのデメリットがますます

小さくなる事で、より広い範囲で

深く共感できる顧客を見つける

事ができるようになる

市場は「巨大組織」と「フリーエージェント

中心としたプロジェクト的な組織」の

ニ極によって形成される

・「バーベル戦略」

タレブ氏は「90%会計士、10%ロックスター

という生き方」という例えで説明

アップサイドとダウンサイドで

リスクに非対称性のあある仕事を

組み合わせる考え方

アインシュタイン特許庁の役人

というリスクの小さい仕事をしながら

科学論文でノーベル賞を取った

人生から不確実性を追い出してしまうと

「大化け」する可能性も排除して

しまうことになる

安定的にキャッシュを生み出す

「今日の事業」を営みながら

将来的に大化けするかもしれない

「明日の事業」へと着手する

ニュータイプはリスクの異なる

タイプの仕事のポートフォリオ

組み、様々な組織と越境的に

関わりながら安定性とアップサイドの

リスクを両立させる

P201 まとめ

 


13.自分の価値が高まるレイヤーで努力する

「努力すれば夢は叶う」という価値観

に固陋(ころう)に執着するのはオールドタイプ

【命題1】天才モーツァルトも努力していた

【命題2】努力すればモーツァルトのような

天才になれる。

命題1の逆である命題2はミスです

正しくは

【命題2】努力なしにはモーツァルトのような

天才にはなれない

・練習量の多少によってパフォーマンス

の差を説明できる度合い

–テレビゲーム 26%

–楽器 21%

–スポーツ 18%

–教育 4%

–知的専門職 1%以下

専門知識には努力の量とパフォーマンス

にはほとんど関係がない

グラッドウエルの1万時間の法則は

人をミスリードする

ある職人で人一倍努力しても

なかなか成果が出ないのは

それは努力不足なのではなく

その仕事が求める資質と本人の資質が

フィットしていない可能性がある

山中教授はノックアウトマウス

あって衝撃を受け、新しいブレイクスルー

の道がある事を直感した

最初はスポーツ整形外科であったが

2年で見切ってキャリア転向

一般的には日本で忌避される

行動様式「一生懸命に頑張らず

次々にポジションを探す事で

最も自分が輝ける場所を探す」

P212 まとめ

 


14.内発的動機とフィットする「場」に身を置く

IBMは1996年に電子商店街サービスを

開始したが失敗に終わった

NTTは1995年NTTディレクトリーという検索

システムを開始した

Yahooに先立っていたが敗北

イノベーションの歴史を振り返ると

「命令を受けたエリート」VS

「好奇心に突き動かされた起業家」

という戦いの構図が度々現れる

一つ確実に指摘できることは

「モチベーションが違う」ということ

南極点到達の話を見てもアムンゼン

幼少より極点の一番乗りを夢見て

人生の全ての活動を夢の実現のために

プログラムした

一方このレースを競う事になる

イギリスのロバートスコットは

軍人エリートの家系に生まれ

軍からの命令を受けて南極に赴いた

「探検そのものの準備と実行の巧拙」

より根源的な「人選の問題」

同じ南極点を目指したが彼ら

二人には大きく異なるモチベーション

があった。

スコットの場合は海軍から与えられた

ミッションを完遂し高い評価を得て

出世するという点にあった

一方でアムンゼンは南極点に最初に

到達し探検家として名を成したい

と、ただそれだけ

スコットが承認欲求に突き動かされ

ていたのに対して、アムンセンは

極めて内発的なモチベーションに

突き動かされた

これは、度々見られた戦いの構図であり

多くの場合は「内発的動機に駆動されるアマチュア

に「上司からの命令で動くエリート」が

完敗するという結果になっている

「内発的モチベーションを持った人が

上司の命令で動く人と戦えば

前者が勝つ公算が高い」という事です

自分で仕事の「意味」を形成する事が

できるのがニュータイプである

・能力の背後にある「動機」が

大きく職務のパフォーマンスに

影響を与える事、動機のプロファイル

によって活躍できる仕事の種類は

変わるという事を示している

P222 まとめ

 


15.専門家と門外漢の意見を区分せずフラットに扱う

VUCA化する世界では蓄積した

知識や経験が陳腐化するのが早い

つまり専門家の地位が失墜する

近年では専門家が頭を抱えてきた

難問を、門外漢が問題を解決する

という事例が多く出ている

・「専門家の問題解決能力を門外漢の

それが上回る理由」

一つ目は専門家の能力は大した

ものではなかった

経済予測などで1位は清掃作業員

専門家知識のアップデートは難しい

専門家を評価するにはさらに上位の

専門家が必要で「評価不全」になる

一方、門外漢の集団は膨大な人数

からなっており最新の知識を持つ

人がどこかしらにいる、そのため

クラウドの陳腐羽化は起きない

チャールズ・ダーウィン生物学者

として認識されていますが

本人は地質学者を名乗っていました

ダーウィンは食料供給の限界が

常に動物においても発生する以上

環境に適応して変化する事が

種の存続において重要であるという

仮説を得ています

・新幹線の技術開発は航空機の

技術開発者で門外漢であった

・これまでのテクノロジーと社会構造

ではクラウドと情報をやり取りするのに

膨大なコストがかかった

NASAはこれまで蓄積したデータを

イノセンティブに後悔する事により

SPEの発生を高い確率で予測できる

ようになった

P233 まとめ

 


第6章 ニュータイプのキャリア戦略

16.大量に試して、うまくいったものを残す

その人のコナトゥスを高めるのであれば

「良い」という事になり、その人の

コナトゥスを毀損するのであれば「悪い」

賢人というのは自分のコナトゥスが

何によって高められ、何によって

ネガティブな影響を受けるかを知り

結果として人生を楽しむ術を心得た人

私達は極めて変化の激しい時代に生きており

何が「良い」のか「悪い」のかを

世間一般の判断に基づいて同定することは

できない、だからこそ私達は

様々な事を試した上で、それが

自分のコナトゥスにどのように作用するのか

を内省し自分なりの良い悪いの判断を

作っていく事が必要だとスピノザは説いた

私達は自分の姿形や立場といった

エイドスに基づいて「私はこうするべきだ」

「私はこうしなければいけない」と

考えてしまいがちですが、このような

エイドスに基づいた自己認識は往々にして

個人のコナトゥスを毀損し、その人が

その人らしく生きる力を阻害する

要因となっています

何が自分のコナトゥスかは結局のところ

試してみないとわからない

キャリア形成のきっかけは80%が

偶然である事が研究で示された

努力は「いい偶然」を招き寄せる

ための計画と習慣にこそ向けられる

べきだ(プランド・ハップンスタンス・セオリー

=計画された偶発性)

そのポイントは

①好奇心

②粘り強さ

③柔軟性

④楽観性

⑤リスクテイク(未知への挑戦)

どのような対象にも自分のコナトゥス

を高める機会があるかもしれない

Amazonは「試行と撤退」の達人

70を上回る新規事業に参入し1/3は

失敗して早期に撤退している

ビジョナリーカンパニーにも

「大量のものを試して、上手くいった

ものを残す」と書かれている

限界費用が低下し試すコストが

低下すれば「意図された偶発性」の

方が最終的により良い成果に結びつく

可能性が高い

ニュータイプは「とりあえず試してみて

結果を見て修正する」というダイナミックな

アプローチをとる

即興型のチームは「計画の策定」と

「計画の実行」が渾然一体になっている

実行をしながら、その都度現れた

問題や市場の好機に適応するように

計画を仕立て直す

「試すためにはやめることも必要だ」

2014年にAmazonスマートフォン

事業をスタートしたが1年で撤退

「撤退の巧拙」にこそ新規事業の

巧拙の差を生み出すP248 Amazonの撤退事業

多くの企業は撤退が下手である

しかし、実際のところなかなか

チャレンジできず従前の取り組みを

続けたまま無為に時間を過ごす

そのような人は「始めない」のではなく

「やめられない」のです

限られた人のリソースを有効に

使うには伸びシロが望めないという

事をやめる必要がある

P250 まとめ

 


17.人生の豊かさは「逃げる」ことの巧拙さに左右される

生物の進化の過程で「痛み」という

感覚を持っている事が個体の生存

繁栄に有利に働いた

「何が危ないのか」を理解させ

適用させようとしても、普通に

「痛み」を感じる人ほどに長生きは

できない

危機に直面した生物は「戦う」か

「逃げる」かのどちらかの選択を

瞬時にします、人間の場合は

「じっと耐える」「なんとか頑張る」

という選択をしてしまいがち

そのような選択は個体の生存という

観点から非常に不利な古いオプション

である、ではなぜ?理由は二つある

一つ目は「逃げる人」が出てくると

自分の選択に自信が持てなくなる

二つ目は逃げる人が出てくると

他の人の負担が増えるからです

だからコミニティーで「逃げてはいけない」

が規範化される

・有名な兵法書「兵法36計」の最後には

「走為上=走るを上と為せ」

「逃走は最善の策である」と書いてある

つまり、勝ち目がないと分かった時点で

迅速に撤退するという事

これができないで国を滅亡の危機

まで追い込んだのが旧日本軍の

エリート軍人です死者300万人の

多くは最後の1年に出ています

ミッドウェイ海戦で敗北したときに

講和を結んでおけば、あそこまで

大きな犠牲を出すことはなかった

アイデンティティーに固執する

のは危険である

頼りになるのは事態の変化を捉える

センス、偶然に対する勘、それだけ

「危ないと感じるアンテナの感度」

「逃げる決断をするための勇気」

が重要である。

多くの人がどんどん逃げることで

社会全体の健全性は高まる

・「一生懸命」という言葉は

自分の土地を命がけで守り抜く

というオーナー目線の言葉であったが

オーナーである領主が領民に押し付ける

「弱者の道徳」に転化された

不甲斐ないリーダに対して下の人間が

取れるオプションは「オピニオン=意見をして行動を正す」

「エグジット=その人の元から逃げ出す」

の2つしかない

周囲に誰も取り巻きがいなくなれば

権力のふるいようがない

P262 まとめ

 


18.シェアしギブする人は最終的な利得が大きくなる

アメリカにおいては共有の概念は

資本主義の仇敵である共産主義者

ドグマと考えられていた

ポータは「独占」という事態を

経営学において「望ましい状況」

に転用した、「独占」というものは

長い間、企業において魅力的なもの

と考えられてきた

封建社会の農業は今日の私たちが

コミューン=共同社会と呼ぶ

社会構造の中で営まれていた

全員の土地をまとめて開放耕作地

共同放牧場として皆んなで共同して

耕作していた。

その後、「中央集権化した政府による

厳しい指導によって共有地を統制して

もらうしかない」という考えになった

多くの人は「周りの牛飼いが放している

牛の数と同等の数に留めるべきだ」

と考える。

資本主義は18世紀に成立してから

たったの200年しか継続していない

にもかかわらず、様々な制度疲弊を

呈して自滅しかけている

オールドタイプ=テイカーより

人に与え共有しようとする

ニュータイプ=ギバーの方が

ますます有利になる社会が来る

イカーは短距離層は有利だが

長距離走ではギバーに勝てない

イカーはまるでブラックホールのように

周りからエネルギーを吸い取り

ギバーはまるで太陽のように周囲の

人々にエネルギーを注入していった

P273 まとめ

 


第7章 ニュータイプの学習力

19.常識を相対化して良質な「問い」を生む

想像力を高めるためには「リベラルアーツ

を学ぶべきである

人がどのように生きるか、社会がどの

ようにあるべきかを規定するのは

サイエンスの仕事ではない

このような営みにはリベラルアーツに根ざした

人文科学的な思考が必要である

2008年新卒入社の給与中央値は

トップはMITとキャルテクの2校

中央値は72000ドルで中途採用時の

初任給ランキングでも

3位と6位にランキングされた

しかし、中途採用で最も高い年収で

採用された上位10%の集団に入れば

MITは11位で1〜10位は教養学部系に

強みを持つエール大学やダートマス大学

が並んでいる

全米で最も成功している人物、年収の

上位10%の専攻科目は政治学、哲学

演劇、歴史といったリベラルアーツ

科目が突出して目立つ

改めて確認すれば「役に立つ」の軸に

沿って目盛りを高めるのはサイエンスの

仕事であり「意味がある」の軸に

沿って目盛りを高めるのがアートの

仕事である

「組織の上層部」にいる人々は

課題を設定するためのリテラシー

してのリベラルアーツが求められるが

「組織の下層部」には課題を解決する

リテラシーとしてサイエンスが

求められる

無教養な経営者とサイエンス重視の

参謀スタッフによる「構想なき生産性の向上」

への終わりなき行軍が従業員のモラルと

モチベーションを破壊しコンプライアンス

違反が頻発しているのが日本の大企業

結論はリベラルアーツは私たちが

当たり前だと感じている事を

相対化し問題を浮き上がらすために

とても役に立つ

・最も長い期間にわたって価値を生み

出し続けるのは宗教施設と公共インフラ

です

リベラルアーツのリベラルは自由という

意味でアートは技術のことです

「自由になるための技術」

専門領域を横断するには教養

リベラルアーツが必要だ

・単に常識を疑うのではなく

「見送っていい常識」「疑うべき常識」

を見極める選球眼を持つ

パラダイムシフトの多くの場合は

「その領域に入って日が浅いか

あるいはとても若いか」のどちらか

である

P289 まとめ

 


20.「他者」を自分に変えるきっかけにする

すでに変化してしまった現実に対し

過去に形成されたパターンを当てはめて

わからないはずの問題を、さも、分かった

ように感じてしまう

オールドタイプは「わかった」と言うと

評価されると経験的に知っている

コンサルティング業界には

「要するに◯◯ってことでしょ」と言う

口癖があるが、何か大事なものが

こぼれてしまったような感じがする

言葉によるコミニケーションは

常に「こぼれ落ち」が発生している

事を忘れてはならない

過去に形成されたパターンに当てはめ

新たな見方を獲得したり世界観を

拡大したりする機会を制限してしまう

「要するに◯◯でしょ」と言うまとめ方は

相手から聞いた話を自分の持っている

メンタルモデルに当てはめ理解している

に過ぎない、聴き方の深さには

【レベル1】自分の枠内の視点で考える

【レベル2】視点が自分と周辺の境界にある

【レベル3】自分の外に視点がある

【レベル4】自由な視点

「要するに◯◯でしょ」は最も浅い聴き方

ダウンローディングに過ぎない

成長するには安易に「わかった」と

思わず相手の言っている事を傾聴し

共感することが必要

レヴィナスの言う「他者」は「自分以外の人」

と言う意味ではなく「わからない者、理解出来ない者」

と言う意味である

・インターネットの登場により、むしろ

私達は「孤立化・分散化」する恐れがある

自分と同じような人だけでどんどん

凝り固まって孤立化していくような

社会が生まれることになりオールドタイプの

行動様式とインターネットが結びつけば

民主主義の根底を危うくする

私達は短兵急に「わかる」を求めず

じっくり他者の声に耳を傾け共感する

と言うニュータイプの行動様式が

求められている

P299 まとめ

 


21.苦労して身につけたパターン認識を書き換える

「豊富な経験を持ち、その経験に頼ろうとする人材」

はオールドタイプとして価値を失い

「経験に頼らず新しい状況から学習する」

人材がニュータイプとして高く評価される

環境変化によって経験がリセットされる

からです、経験によるパターン認識能力

が役に立たない場合が出てくる

目前の問題を解決したい場合採用できる

アプローチには次の3つがある

①ランダム:直感によりピンとくる解を求める

ヒューリスティック:経験則に基づいて

いい線をいく解を求める

オプティマル:事実と論理に基づいて

最適解を求める

・「流動性知能」は20歳前後でピーク

を迎え「結晶性知能」は60歳前後で

ピークを迎える

・ラーニングアジリティーは単に

学習するのが早いだけでなく、すでに

学習した内容をリセットできる

しかしリセットは難しい

一つ目は少ない代償を支払って獲得した

パターン認識を手放したくない

二つ目は同じストレスを味わいたくない

と言う回避衝動が働く

大きな環境変化が起こると

それまでの経験が無価値になるどころか

意思決定や行動のクオリティー

劣弱にする、GAFA前の先行事業者が

そうだったように

・目の前の状況を虚心坦懐に観察し

ラーニングアジリティーを発揮して

過去に蓄積した経験と知識を

アップデートし続けるニュータイプ

価値を創出する

P310 まとめ

 


第8章 ニュータイプの組織マネジメント

22.「モビリティ」を高めて劣化した組織を淘汰する

若手という人々たちの「オピニオン」と

「エグジット」が大きな武器になる

オールドタイプの意見に

おかしいと思うところは意見し

聞き分けなければ脱出する

「オピニオンを歓迎しない」リーダーも

多く今日の日本において頻発に発生

している不祥事や偽装は

「人格を崩壊させたオールドタイプ」に

よって主導されている

「オピニオン」「エグジット」で

圧力をかける事は自分の利益になる

・世界を変えるのは大きなリーダーシップだ

という考え方は間違っている

世界が変わる大きなきっかけとなったのは

「小さなリーダーシップの集積」

である。

「小さなリーダーシップ」を集積する

ためのツールがどんどん整備されている

「MeeToo」ムーブメントは良い例であり

巨大な影響力を持ったワインスタインを

性暴力やハラスメントを繰り返していたが

アリッサ・ミラノの「#MeeToo」ハッシュタグ

を使った告発で辞任に追い込まれた

・巨大な権力は3つのM、More、Mobility

Mentalityによって不可逆な衰退のプロセスにある

More:物質的な豊かさの向上

Mobility:物理的な機動性=移動しやすさ

Mentality:私たちの権力に対する意識の変化

ニュータイプは自分の美意識に照らして

「おかしいと思う事」については

「おかしい」と声を出し、それが

受け入れられなければモビリティを発揮して

エグジットする事で権力者や組織に

対して圧力をかけ続ける

P323 まとめ

 


23.権威ではなく「問題意識」で行動する

私たちが所属している企業組織は

マックスウェバーのいう官僚組織型

になる。オペレーションのルールと

意思決定権限が規定され、ルールの

範囲内であれば自分で判断して

オペレーションを実施し

ルールで判断できない例外的な

事象に対しては上司に相談して

判断を仰ぐというシステムで運営される

・状況の不確実性が高まれば

高まるほど、そこに関わる人が

フラットな関係でコミュニケーションをする

ことが必須になる

・飛行機の墜落事故は副操縦士

操縦桿を握っている時より機長自身が

操縦桿を握っている時の方が

はるかに多い

副機長が操縦するときは「腕」は

一本かもしれないが脳ミソは二人分

になる

・「目上の年長者に反論しにくい度合い」

権力格差指数=PDI(1967ー1973年)

フランス(68)、香港(68)

台湾(60)、ギリシャ(60)

韓国(58)、日本(54)

イタリア(50)、アメリカ(40)

オランダ(38)、旧西ドイツ(35)

イギリス(35)、スイス(34)

デンマーク(18)

権力格差の大きい国では人々の間に

不平等がある事はむしろ望ましい

と考えられ、権力弱者が支配者に依存

する傾向が強く、中央集権化が進む

アメリカのパニック映画は

未曾有の問題が発生した場合に

それに対してリーダーシップを発揮

するのは中央にいる人でなく

周辺にいる人が多い

日本のパニック映画「ゴジラ」では

コアとリーダーシップが直接接続

されている、「日本沈没」でも

同じくコアとリーダーシップは

一直線につながっている

150年以上も前の「三葉葵の印籠」に

一般市民が土下座するような映画で

はしゃいでいる。

「日本人はカースト制に向いている」

(落合陽一)

我々日本人は「権威」と「リーダーシップ」

を一体のものとして認識してしまう

奇妙な性癖を持つが、リーダーシップは

権威によって生まれるものだはない

歴史においてリーダーシップを発揮した

イエス・キリストキング牧師

マハトマ・ガンジーなどを見ても

同じです

P334 まとめ

 


24.システムに耽落せず脚本を強かに書き換える

多額の収入を得た「勝ち組」と

言われる人を見て「彼らと同じような努力

をすれば自分も同じようになれる」

と考えるナイーブな人がいて

これが一種の「市場」です、しかし

「システムに対して無批判に最適化して

おいしい立場を得ようとする」

オールとタイプのパラダイム

大きな問題点が二つある

1つ目は成功した人を模倣し続ければ

社会システムはますます動かし難い

ものとして存在してしまう

二つ目はシステムは変化するので

過度の最適化はいずれ適合不全を起こす

・オールドタイプは「価値より貨幣」

を求めて仕事を選ぶ

資本主義というシステムにこそ

問題の根本原因があるという考えは

マルクス以来、非常に根強い

これがダメだからアレに変えようという

代替=オルタナティブの考えは

大変安易ではありますが結局は

問題の根本を解決できない

共産主義の失敗は「資本主義のシステム

がダメなので別のシステムに切り替えよう」

という考え方の行き着く先が

ディストピアでしかなかった

重要なのは「システムと人間の関係性

のあり方」を問うという事なのです

・端役を押し付けられた大根役者は

脚本を改変するインセンティブ

あるわけですが多くの大根役者は

「脚本の歪み」を是正する事より

「どうやったら自分も花形役者になれるのか」

という問題ばかりに気を取られ

花形役者から搾取されるいいカモに

なっている

舞台の上で適切に振る舞う事で

したたかに発言力・影響力を高め

ながら脚本そのものへの批判的な

目差しは失わないという二重性を

持った人によるしかない

そのような二重性を持った人こそ

システムの変革を担うニュータイプ

である

P345 まとめ

 


おわりに

「人類がスペースコロニーに移住すると

したら、日本の文化遺産の中から

何を持っていきたいと思いますか?」

この質問を参加者に投げかけると

回答としてあげられるモノの8〜9割は

18世期前に作られたものである

労働力は江戸時代の人口は3000万人

ぐらいで労働時間は3〜4時間程度

現代は人口1億2000万人で労働時間

7〜8時間、生産性の向上は何だったのか?

テクノロジーの進化は勢いを強め

「生産性」は高まっていくが

それを使う人間の側の「ヒューマニティー

が全く進化していない

「新しい時代への転換」は誰もが気づかない

うちに「人間の見方」が変わる事で起きる

「新しい時代の要件=ニュータイプ

について考えていただき

20世期的な価値観や労働感に

縛られない、しなやかで自由な

新しい人生のありかたを実践して

いただければと思います

 


●本書から得られた新しい知識

・これから求められる思考・行動様式

【オールドタイプ】→【ニュータイプ

正解を探す>問題を探す

予測する>構想する

KPIで管理する>意味を与える

生産性を上げる>遊びを盛り込む

ルールに従う>自らの道徳観に従う

一つの組織に留まる>組織間を越境する

綿密に計画し実行する>とりあえず試す

奪い、独占する>与え、共有する

経験に頼る>学習能力に頼る

・鉄道路田作業員のジョン・ヘンリーは

蒸気ハンマーに「鍛え上げられた人間が

そんなものに破れるはずがない」と

戦いを挑み辛くも勝利するが

心臓麻痺を起こして死んでしまった

ムーアの法則半導体の集積度合いは

18ヶ月毎に2倍になる

2年後は2.52倍、20年後は1万321.3倍

となります。

1億円の人工知能も10年経てば

100万円で購入できることになります

・マルニエ木工:アップルパークに

椅子を納入した日本の会社

自分が欲しい商品を作ったら

お客様も欲しがった

・二重過程理論:人間の脳は外部からの

刺激に対して大きく2種類の意思決定

の過程が同時に異なるスピード

として起きます、このシステムを

「システム1(直感)」「システム2(論理)」

システム1は自動的に高速で働き

努力は全く不要か必要であってもわずか

である。システム2は複雑な計算など

困難な知的活動にしかるべき注意を

割り当てる。システム2の働きは代理、選択

集中などの主観的経験と関連づけられる

ことが多い

・今の社会で「過剰なもの」>「希少なもの」

正解 > 問題

モノ > 意味

データ > ストーリー

利便性 > ロマン

説得 > 共感

競争 > 共創

・3Mは研究職に対して15%を自由な

研究に投下していいというルールがある

Googleが米軍の無人機による画像認識

に協力したことに対して社内で抗議

活動が起こった、4600人が嘆願書に署名

抗議のために辞職者も出た

・上位4社のシェア(売上ベース)の

加重平均は1997年の26%から

2012年の32%と増加(エコノミスト

・公正社会仮説:社会は公正であるべき

だし、実際にそうだ、地道に努力すれば

いつかきっと報われるという考え

・コナトゥス:本来の自分らしい自分で

あろうとする力(スピノザ

・絵本(I  Can  Share):共有の楽しさ

大切さを諭した絵本

・STEM(Science=科学、Technology=技術

Engineering=工学、Mathematics=数学)

流動性知能:推論、思考、暗記、計算

などの受験に用いられる知能

・結晶性知能:知識や知恵、経験値、判断力

など経験とともに蓄積される知能

・Hippo(Highest–Paid Persons Oppinion)

一番給料が高い人の意見

 


●本書に出てくる格言

政治や経済の事象を予測すること

にかけては、私たちの成績は0点に近い

どころではない、0点なのだ

ナシーム・ニコラス・タレブ

特に才能があるわけではない平凡な

人にとって暇な時間をどう使うのかは

恐ろしい問題である

ーJ・M・ケインズ

資本と比べた労働に固有の性質は

価値の可変性にある

加護野忠男

意味を与えられた人は豹変する

新約聖書

人間の知性にとっての自転車を作る

スティーブ・ジョブズ

邪魔にならない

Dont be Evil

Googleの社是ー

 


●本書で得られた気づき

変化の早い現代において

専門家の予測は外れる、つまり

コンサルや自称専門家の言うことに

従っていればドツボを踏むかもしれない

また、私の身の回りにはコンサル

に多額の金額を支払い実りのなかった

人はたくさんいる

先ずは自分の直感を信じてみることだ

と思う、そして「主体的」に動く

他人の意見は参考にするが

選択するのはあくまでも自分

責任を引き受けるのも自分である

内発的動機づけが起こる

内なる心の声に耳を傾けてみる

承認欲求からではなく自発的に

人生をかけたい事を探し続ける事

 


●今までの自分の考えと違ったところ

 


●本書の内容で実行してみたい事

自分の商品や企画を打ち出すときは

「意味」について考えてみる

問題そのものはどんな所にあるのか

他者の話を聞くところから始める

 

ニュータイプの時代

ニュータイプの時代