書名:板読み投資術
著者:坂本慎太郎
●本書を読んだきっかけ
丁度、板読みについて学びたかった
ところ、入門書的な本書が本屋に
置かれていたので購入
●読者の想定
テレワークで9時から9時10分
ザラ場を見ることができるサラリーマン
本書に書かれていることが
事実か確認するといいと思う
また、著者の脱サラの方法が
現実的な方法なのでそちらも
参考になると思う
●本書の説明
短期トレードを行っている人にとって
板情報の読み方さえ理解すれば
他のテクニカル指標の見方など
知らなくてもいいと言っても過言
ではない
第1章 年収1億円ディーラーの投資術
・著者は個人の取引はマネックス証券
を使っている
ITバブルの時はど真ん中銘柄よりも
ソフト関連の銘柄を攻めた
株式ディーラーとして赤木屋証券で
デビュー
ディーラーの仕事は基本、体育会系
当時は売買注文の伝票は手書きで
発注システムに打ち込むという
二度手間で行っていた
ディーラーに新人研修はない
見て習え、勝手にやれの世界
100万円は固定費である
100万円を割り込む月が続くと
クビを言い渡される
インセンティブが40%の会社で
200万の収益をあげたら
(200万ー100万)×40%=40万
が固定給20万に上乗せされ
月給60万になる
新人の株式ディーラーが1銘柄に
持てるポジションは1000株
赤木屋証券の後、木村証券で勤務
インセンティブは65%もあった
・初心者がデイトレードする場合
買いから行うのがセオリー
短期トレードの銘柄を探す時は
できるだけ厚い買い板を持っている
銘柄を探す
先輩トレーダーに買い板の薄い
銘柄を買っている人がいた
質問すると
「板が薄いから誰も売ってこないんだよ」
眼から鱗だった!
誰も売らないので株価が安定している
いずれ株価が下がれば自然のうちに
買い板が出てくる、それを先回り
してポジションをとる上級の技だ
この先輩は50銘柄ぐらいに分散投資
朝8時に数百銘柄の板を見ていた
・少しでも売り物が出てきて株価が
下がると、みんな調子に乗って
いつもより多くの株数を買っている
ものだから損失が大きくなること
もある
・ディーラーを経て著者はかんぽ生命の
で地方債と社債の担当をした
短期のトレーディングで収益を
稼ぐにしても、どこか長期的な
思考を持つ事はマーケット全体の
フレームワークを理解する上で重要
・その後、トレーダーとしての独立
を考えるが嫁さんを説得するため
不動産投資を初めキャッシュフローを
確保し、ようやく独立
第2章 板読みの基本の基本
・板にはチャートよりも早く株価の
動向を示すサインが現れる
板読み情報から株価の動きを先読み
できるのは日本の証券市場だから
・10本を超える全ての板情報を
見ることができるものを「フル板」
と言います
・価格優先の原則では次の順番に約定
①成行注文
②呼びねの低い売り注文、呼び値の高い買い注文
③呼びねの高い売り注文、呼び値の低い買い注文
・寄付きは、売り注文、買い注文とも
成行注文を合算し売りと買いの
株数が近くなるところになります
・板寄せの仕組み
①成行注文の買いと売りの差を取る
②UNDER、OVERを成行と合わせる
③ 呼び値の低い売り注文、呼び値の
高い買いを①②に合わせる
④現在値の中の注文時間の早い順に
売り買いの枚数を一致させる
・損失を限定させるためには
強い板でエントリーする
強い板を見つける習慣をつける
買い指値が多ければ、すぐに
ポジションを投げることができる
株価が奈落の底まで落ちていく
ような事にはならない
・個人投資家には三つの主体がある
今は8割がアルゴリズムトレーダー
・板に現れる投資家
1日の出来高のうち一社が20%を
超えて取引する事はない
–儲けたいアルゴリズム
超多頻度売買で薄くサヤを抜く
–買いたいアルゴリズム
機関投資家からの注文を受け
粛々と約定させていく
アルゴリズムとしてVWAP売買
に絡んで表れる
–板情報を見ているとVWAP取引が
どこに入っているのか少しづつ
わかってくる
板読みで重要なのはアルゴリズムを
含めた機関投資家よりも、むしろ
個人投資家の動きである
・OVERよりUNDERが多ければ
株価は下がりやすくUNDERより
OVERが多ければ株価は上がる
というのは俗説であてにならない
気にするのは全く無意味です
相関性を調べて儲かったことなど
一度もありません
・短期トレーダーは板情報で大事なのは
寄り付きの株価を中心に上下7本程度
・中期投資でもエントリーする時は買うし
利益確定する時は売却する、売買行為
が発生する以上、板読みができれば
有利な条件で取引できます
短期トレーダーで常時、板情報を
チェックしている人に比べて
中長期で投資している人の方が
板情報を見たとき冷静に判断できる
というメリットがある
・600円で売り指値をしたいのであれば
598円、599円で売り指値を入れる
ようにします
第3章 板読み投資の基本テクニック
・板情報をもとにトレードする時は
5手先を読んだ売買を心掛ける
必要があります
そのためには、少なくとも自分が買った
時の株価と、売った時の株価ぐらいは
覚えておくことが肝心です
自分が買った時の板の形
売った時の板の形が記憶に残るくらい
板を見るようにする
・自分の売買を覚える
エントリーする
②エントリー時の約定価格を考える
③エントリー時の板の形を覚える
・信用取引口座を開いたほうがいい
理由は繰り返し売買できるから
ギリギリの資金だと買った銘柄を
売り、また同じ銘柄を買うところ
まではできるが、その銘柄を売る
事は認められない(差金決済のルール)
資金が多ければ往復で売買できる
回数が増える
・板読みの練習では「同値売買」から
はじめると良い
最初はあまり株価の動かない
午後1時から2時の時間帯で練習する
損失を出さない練習であり
損失を抱えたまま引っ張るのは
絶対に避ける
・勝パターン、負パターンが
わかってくるので売買記録を付ける
・成功への近道は利益をコツコツ
積み上げるのではなく利益と同時に
損失も増やしていく
本当に100万の利益を出すのであれば
利益が200万、損失が100万で
差し引き100万になるように
損失をコントロールする
利益と損失の両方を膨らませるほうが
稼げるディーラーになるための
近道だ
・トレードのタイプ
①1銘柄で枚数を増やす
負けて冷める人はコツコツ利益を
上げているタイプで意外とお金が残る
②売買対象となる銘柄数を2〜3銘柄に増やす
熱くなりやすい人はこちら
銘柄を分散させれば冷静さを保てる
・バーンと一気に買いに行って
ポジションを高めてから
他の投資家が全くついてこないと
そこから株価が急落して無茶苦茶
やられるのが普通
・他の証券会社にも口座を開き
システム障害に備える
具体的には空売りヘッジなどで
対応する
・ジェイコムご発注事件は成行注文に
なっていた可能性がある
注文は成行ではなく指値で入れる
癖をつける
誰でも間違えるリスクを抱えている
被害を最小限にするためにも
注文は指値で入れる
第4章 銘柄選びの基本テクニック
・見つけ方
①TOPIX100銘柄は投資対象から外す
超大型銘柄は外す
②出来高が最低でも1000単元になる銘柄
1単元100株なら10万株
③株価が5000円以上の銘柄
呼び値が10円単位だから1000円
づつ動くため
④ボラティリティーの高い銘柄は狙わない
ボラティリティーが時間軸を超越して
しまう短期トレードには向かない
⑤値上がりしているセクターから探す
値上がりセクターの値上がり銘柄
・著者は0.5秒で売り買いを判断できる
・買い板が厚くなり売り板が薄くなった
瞬間を狙って大勢の短期トレーダーが
買い板の上を狙ってきます
・著者のトレーディングツール
–マネックス(トレードステーション)
–カブドットコム(kabuステーション)
・画面構成は中心から
フル板→指数チャート→個別株チャート・為替
→ランキング・HP
と配置している
・ザラ場中のチェック項目
②新興株指数
日経平均とは逆相関
③TOPIX規模別指数
④為替
⑥イベント
–日銀金融政策決定会合
–経済指標
–中国株・人民元
・ポジション保有を検討する時のチェック項目
②同業他社の株価水準
③グルーピング銘柄群
過去に同じ動きがあった銘柄群
④ニュース(材料)
⑤1分足チャート
⑥歩み値
⑦板(フル板)
本章の情報は全て公開情報ばかりです
第5章 板読み投資の実践テクニック
・勝負はわずか10分程度で決まる
午前9時から9時10分の間に
利益確定、もしくは同値撤退する
そのためには強い板を見つける
①買い板が十分厚い
②売り板が上に飛んでいる
ことが条件である
・9時10分までには勝ち負けを
ハッキリさせる事を心がける
①寄り付き前に200銘柄程度を巡回チェック
午前8時頃から行い8:15には一巡できる
巡回してる間に変化するため
同じ事を繰り返す8:45に3度目の巡回
強そうな銘柄をメモをする
②見つけた強い板の銘柄を寄り付き
条件でエントリー
8:55には銘柄を精査し「寄付き条件」
で指値をする
9:10にはポジションをクローズ
・ピッタリな銘柄は200銘柄のうち
3名柄ぐらいしかない
トレード自体は9:00〜9:30で終わるが
トレードに相応しい銘柄を探すのが大変
・買いてと売り手の戦略で分けると
–買い板の順張り
–買い板の逆張り
–売り板の順張り
–売り板の逆張り
に集約される
この中から選ぶべきものは一つ
「買い板の順張り」です、なぜなら
圧倒的に勝率が高くなる
だからデイトレードは買い板の順張り
でいくべきです
・朝の10分トレードでは条件付き注文を
だす、この方法で寄り付き注文を出すと
有効にし、前場で寄り付かなかった
場合は後場に引き継ぐ
・寄り付き前の板の変化 P160
・買いを出すアルゴリズムを補足するため
板を監視して気配値の変化を
発見することが大事になる
アルゴリズムと思わしき投資家が
動き出し、こちらが出した買い注文より
ほんの少しでも高いところを買う
姿勢を何度でも見せてきたら
とにかくとことん付き合ってあげる
・売り板が下がってくる局面の
どこかで必ず一旦、売り板の
下げが止まる
・高値ブレイクを狙っている
投資家はブレイクした直後に
株価が下落した場合に備えて
厳格に行っている
高値ブレイクとは違う売買に
売り板の分厚いところを抜ける
手前で仕掛けるブレイク売買がある
売り指値注文が集中している
ところを抜けると株価はスッと
上に上昇していく可能性が高まる
こういう銘柄を見つけて
ブレイクする一歩手前で仕込むのが
板読トレードにおけるブレーク売買
この手法は、きちんとその瞬間の
板を見ていなければ成功しない
専業トレーダーにならなければ
できない投資手法である
・ブレークポイント売買の注意点
ブレイクポイントで買いポジション
を持つのは三流です
P171 ブレーク時の投資家動向
すでに安値で買った投資家は
利益のあるうちに売ろうと考え
と重なり予想より下げてしまう
ブレイクを狙っては下げという
ような振るいお年が何度も繰り返され
上値が軽くなってから上昇トレンドに
乗っていく
ブレイクで儲けるには需給をきちんと
見る逆回転した時はスキャルパーの投げ
下値で買った人の利食いが同時に出る
歩み値で需給を確認する
だから最初に飛び込まないことです
負けた時にきちんと逃げられるように
逃げ道を準備しておく
大事なことはブレークポイントの
手前で仕掛けることです
・1日1万稼げれば月に20万
実現可能な金額です
・専業で食べていくか
月々の生活費の足しにするか
という事を考えて目標金額を
考えていく事
目標金額から逆算していく癖を
付けることがコツコツ利益を
積み上げていくためのコツです
・1回のロスカット幅をきちんと守る
と同時に1日当たりの最大損失も
決めておく
1日あたりのロスカット額が
過去の1日最大の利益額を超えては
いけません
・1日で儲けた最大金額に加えて
個別銘柄のボラティリティーは
意識した方がいい
第6章 最後はメンタル
①体調が悪い時はとにかく休む
体調医女に問題なのが欲です
②ゲン担ぎに意味はない
③メンタルは負荷をかけても鍛えられない
自分は何をしてはいけないのか
何をするべきなのかを理解していれば
メンタルは整います、逆に
自分にとって腹落ちしないと
メンタルはブレる
わざと玉を増やすのは無意味です
トレードの基本は、その場にあった
ポジションの取り方をすること
トレードで大事なことロジックであり
ロジックがしっかりしていれば
メンタルや精神力でトレードが
左右される事はない
④イライラを排除しよう
イライラのものは自分から遠ざける
まともな事を言っている間違いないと言える
信頼できる人からアドバイスをもらう
⑤ライバルはいらない
師匠は必要だがライバルは不要
儲かっている人を羨んでも収益は増えない
⑥ルールはシンプルにしょう
禁止銘柄を設けることは勉強不足に過ぎない
トレードのルールは2個で十分
「買う時に利益確定と損切りポイントを決める」
「1日のロスカット最大額は決めておく」
⑦初心者は失敗で落ち込まないこと
トレードの期待値はせいぜい5割
嫌な時ほどしっかり見ておく
後悔もやめる何の意味もない
時間は戻ってこない間違ったと思ったら
投げれば良いだけです
超ポジティブもダメです
⑧ちっぽけな勇気は無意味
トレードにおいて逃げるのは恥ではない
⑨含み損のオーバーナイトは厳禁
個人のデイトレーダであれば
1〜2割がオーバーナイトできる
ポジションの基準です
第1に初心者はオーバーナイトしない
第2に含み損をオーバナイトしない
いきなりギャップダウンで始まったら
メンタルも悪い方向に逆回転
手法も限られてくる、だから
含み損のオーバーナイトは厳禁
デイトレで入った銘柄なら最後の最後
までデイトレードで対応する
⑩運に頼らず縁に頼る
テクニカルと運は同じ様なもの
買ったダメ株を切るのは運ではなく
技術であるし、次の銘柄を見つけるのも
技術です
トレーダーとしての技術を上達
させるために大事なのは「運」では
なく「縁」です
良い先輩を見つけることで
あなたのトレード技術は上達します
良い先輩から教えてもらうには
努力が必要です
この人は何を求めているのかということ
から始まって会話から趣味に至るまで
その人に合わせて、その中で教えて
もらえるようになるのです
おわりに
経験値が高まると発注スピードが
速くなります、経験を積み重ねて
いく中で発注するまでの思考が
ブラッシュアップされるからです
あなたは、まだファイティングポーズが
取れますか?
●本書から得られた新しい知識
・売り屋の特徴は損切りが遅い
これはわざとやっている
・投げられない株を買ってはいけない
・同じ株式投資をする仕事でも
ファンドマネージャーはディーラー
に比べ長期の視点でポジションを取る
・誤発注したこののないディーラーは
恐らくいない
まとまった売買注文を執行してもらう
そして証券会社は機関投資家に対して
VWAPに一定の手数料を加味したものを
提示してVWAP取引を成立させる
・兜町には食べてはいけないものがある
エビ、カニは厳禁
エビは曲がっているから相場が曲がる
カニは横歩きだから相場で歓迎できない
「横ばい」、逆に
天ぷらは「揚げる=上がる」
鰻も「うなぎ上がり」
ということで兜町では好まれる
▼用語
・鉄砲を撃つ:実際には上がっていない数字を
集計時に行ってしまう業界用語
・買い屋:買いポジションを中心に
収益を上げるディーラー、対義語は
売り屋
・FIT(フィード・イン・タリフ):
1キロワット38円88銭で今後20年間
顔低価格で買取してくれる制度
・価格優先の原則:
指値注文の場合、売り注文では低い
呼び値の注文を高い呼び値に優先させ
買い注文では高い呼び値の注文を
低い呼び値の注文に優先させる
・時間優先の原則
同一銘柄、同一株価の指値注文は
売り買いとも発注時間の早い注文を
発注時間の遅い指値注文に優先させる
・睡眠投資法:損失が膨らみ
目が覚めたら戻っているかもしれない
と考えて寝てしまうこと
●本書に出てくる格言
まだファイティングポーズが取れるか?
ー著者の元上司(部長)ー
●本書で得られた気づき
勝率は100%にできないから
運であるが損切りは本人の意思で
100%できるから技術である
勝率50%でも儲かるというのは
そう言ったところにあるのだ
と思う
ただ、「コミットメント一貫性」
が強く働くため多くの人は負ける
のであろう
反対にほとんどの人は「コミットメント一貫性」
の法則を守るということだ
●今までの自分の考えと違ったところ
●本書の内容で実行してみたい事
8:00からの銘柄板巡回
ブレイクアウト直前銘柄の板の動き
歩み値を確認してみる
13:00〜14:00の同値売買