書名:地頭力を鍛える
著者:細谷功
●本書を読んだきっかけ
IT企業の採用試験にフェルミ推定の
テストが出ると聞いて
●読者の想定
若い人、地頭力は若いほど鍛えやすい
と思われるから
●本書の説明
頭がいい人は、次の3つに大別できる
・記憶力がよく何でも知っている「物知り」の人
・人の気持ちを瞬時に察知して行動できる
「機転が利く」「気が回る」タイプの人
・数学の問題やパズルを解くのが得意な「考える力」
の強いタイプ
最後の「考える力」の強いタイプが
「地頭がいい」タイプである
地頭力を鍛えるにはどうすればよいのか
本書のテーマである
【例題】「日本全国に電柱は何本あるか?」
ルールは以下の3つ制限時間3分
電卓・パソコン等は使用不可
一切の情報の参照不可
この例題で試されるのは、最終的に出てきた
結果の正確性よりも、どういう考え方で解答に
至ったかという「プロセス」である
①アプローチ設定
大胆な仮定を置く
「単位面積当たりの本数を市街地と郊外に分けて
総本数を算出する」という切り口を考える
②モデル分解
対象をモデル化して単純な要素に分解する
ここでのポイントは市街地と郊外では電柱の密度が
大きく違うことだ
各エリアの「単位面積当たりの本数」と各々の
「総面積」がわかれば、それらの積により
総本数が算出できる
③計算実行
数値の代入と計算に入る
単位面積当たりの本数については市街地の
電柱配置を50m四方に1本、郊外を200m四方に
1本とする
そうすれば1km2当たりの本数は400本(市街地)
25本(郊外)となる
次に必要なのは、各々の総面積である
日本の総面積は約38万km2だが知らない場合は
知っている数値からフェルミ推定る
例えば、東京―博多間の距離が約1200kmである
ことを知っていた場合、日本地図を思い浮かべて
日本全土を同面積の長方形で近似した場合に
どれぐらいになるか想定する
大体1500km×200 kmと想定すれば総面積は
30万km2と近似できる
さらに市街地と郊外の面積比について2割程度が
市街地と想定する
これらの数値をもとに総本数を計算すると
計3000万本と算出できる
④現実性検証
③でひとまず結果が出るが現実のデータが
入手可能な場合は上記の概算結果がどの程度
現実に近いものかのチェックができる
実は電柱の本数は電力会社とNTTから公開
されており合計本数は約3300万本
フェルミ推定による算出結果が結構いい線だった
地頭力のベースとなるのが
「論理思考力」と「直観力」である。
①「結論から考える」仮説思考力仮説思考とは
・今ある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し
・常にそれを最終目的地として強く意識して
・情報の精度を上げながら検証を繰り返して
仮説を修正しつつ最終結論に至る思考パターンのことである
②「全体から考える」フレームワーク
思考力フレームワーク思考力は次の2つで構成される
・課題の全体像を高所から俯ふ瞰かんする全体俯瞰力
・とらえた全体像を最適の切り口で切断し
断面をさらに分解する分解力全ての人は過去の経験や
知識から知らず知らずのうちに「思考の癖」が
ついている
③「単純に考える」抽象化思考力抽象化思考力
・対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」
した後に
・抽象レベルで一般解を導き出して
・それを再び具体化して個別解を導く
という3ステップによる思考パターン
地頭力は「論理思考力」「直観力」「知的好奇心」
の3つがベースとなっている
昨今ロジカルシンキングの流行などで
「考える力」=「論理思考」とも取れるほどに論理が
強調されているが創造的な発想をするためには
論理だけでは不十分である
新たな概念を生み出すには論理とは相反すると
考えられる「直観」も重要
仮説を立てるという行為は直観力が必要になってくる
この直観力というのはまさにアートであり
極めて属人的な能力だが鍛えることは可能
実は知的好奇心には問題解決に関する
好奇心(Why型)と知識に対する好奇心(What型)
の2種類がある
こと地頭力の鍛錬に関してはWhat 型は
時には有害にもなりうる
What 型の好奇心の人は情報や知識を吸収することに
貪欲であるが答えを知ると安心し、それ以上に
物事を深く考えない傾向も見られる
いわゆる「雑学博士」の類の人は要注意
Why型の好奇心を持って日々を過ごしたい
●本書から得られた新しい知識
何らかの推定ロジックによって短時間で概数を
求める方法である
講義で学生にこのような課題を与えたことから
彼の名前を取ってフェルミ推定と呼ばれる
●本書に出てくる格言
●本書で得られた気づき
マッキンゼーの問題解決にある仮説思考
は直感力を要し簡単ではないという
事がわかった
雑学博士にならないで問題解決そのものに
好奇心を持つだけで果たして
直感力は鍛えられるだろうか?
●今までの自分の考えと違ったところ
●本書の内容で実行してみたい事
すぐに電卓で計算することなく既知の数字で
考える癖をつける