思考と読書【お金・健康・人間関係 編】

お金、健康、人間関係に関する本の書評と説明 ビジネス書や自己啓発が多くなると思います なるべく毎週投稿できるように頑張ります

■父が娘に語る経済の話を読んで

 

 

書名:父が娘に語る経済の話

著者:ヤニス・バルファキス

 


●本書を読んだきっかけ

アマゾンのランキングで上位になっていた

 


●読者の想定

資本論を読むには敷居が高いが

資本主義や経済についてもっと詳しく

知りたい人

 


●本書の説明

なぜ世界には貧しい人がいる一方

途方もない金持ちがいるのか

なぜ、人間が地球を破壊してしまのか


市場と経済は違う

市場は交換の場所

農耕革命により余剰が生まれ経済が生まれた

余剰は文学、債務、通貨、国家、官僚

軍隊、宗教を生み出した

経済について語ることは余剰によって生まれる

債務、通貨、信用、国家の複雑な

関係について語る事だ


支配者は「支配者だけが国を支配する

権利を持っている」と庶民に固く信じさせた

人を支配するには物語や迷信に人間を閉じ込めて

その外を見させないようにすればいい


地域格差

余剰が蓄積され富が支配者に偏る事を

「寡頭制」という金持ちは金を持つに

値すると思い込み貧乏はそれが普通と

思い込まされた


お金を払うと人助けの喜びや冒険の

ワクワク感がなくなってしまう


経験価値と交換価値

お笑いやダイビングは経験価値

と読んでもいい経験することに価値がある

対して

商品はいくらかのもので売るものだ

市場で売られるときの価格が市場価格

経験価値と商品価値は対極にあるが

今はどんなものも「商品」だ

様々なところで商品価値が経験価値を

打ち負かすようになった

古代ギリシャの時代はオークション

と言った市場は考えられず

武器の交換価値より

人に認められる事の方が重要だった


なぜそのように行動したのは

まず何よりもその時代のその時代の

文化と経験の価値を知る必要がある


生産の3要素

「資本財」「土地」「労働者」

今は全てが商品になっている


囲い込み

イギリスの農民の7割が土地を奪われ

「市場のある社会」から「市場社会」

への道を歩み始めた

他のヨーロッパや中国の封建領主は

軍隊を持っていたがイギリスの領主は

軍隊を持っていなかった

だから富を蓄積するため貿易を盛んに行い

中央権力の王室の軍隊の恩恵を受けた


昔はオカネ自体が目的ではなかった

人間が利益を追求する過程で

「市場社会」になり手段から目的

になった


余剰は

生産→分配→債権・債務

の流れで機能した

封建制度で貴族階級が支配的な地位を

維持できたのは政治と軍隊と法律と習慣

のおかげだった


銀行は現在の交換価値を貸すわけではない

「現在」という縛りがないため

いくらでもお金を貸すことができる

貸したお金は小口に分けて投資家に販売

することも可能だ

未来から引っ張ってきた膨大な価値が

実現しないとわかったとき経済は破綻する

利益と富を生み出すまさにその仕組みが

金融危機と破綻を生み出す

メソポタミア時代の支配者も貝殻に刻む

数字を勝手に決めて好きなだけ与えれたが

現在の中央銀行

「どこからともなくパッとお金が出せる」


個人の富は国家の武力によって築かれ

維持されていた

権力者と金持ちは国家に影響を与えられる

彼らが納める税金は国家が彼らのために使う

金額よりも少ない

一般労働者の納める税金に関しても同じ

その差は公的債務によって詰め合わされている


労働市場とマネー・マーケットを動かして

いるものは予言の力で悪い予言をしがちである

人は誰しも短期的には自分を守りたい

という短期的な衝動に勝てない

後で自分の首を絞めるとわかっていても


仮にワットが古代エジプト時代に

蒸気機関を王に提供しても宮殿に置き

訪問者に見せるだけであろう

奴隷を意のままに使えたからである


人は適切な栄養を与えられ最高の状態

に置かれていても他者との関わり

希望や自由が失われると早死にする


3つの理由でコストが下がる

「自動化」「競争」「需要」


第二次世界大戦中ドイツは捕虜の扱いを

分けていてロシア人とユダヤ人は殺され

イギリス、カナダ、オーストラリア

アメリカ、フランス人はジュネーブ条約

に則って扱われた

捕虜収容所には赤十字から物資が送られたが

物々交換をする中、アービトラージが発生

そのうち物の価格が安定したが

他の全ての物資の取引媒体として使われる

ようになったのはタバコだった

タバコは赤十字から供給されており

爆撃があると需要が増えた

需給バランスで価値が変動した

そのうち将来、供給されるタバコをあてに

タバコの貸し借りが発生した

そこにもタバコの将来価値に合わせ

何%か上乗せして貸された

アメリカ軍が収容所を解放すると

貸し借りは煙と消え収容所内の

経済は消滅した

(ラドフォードの記録)

崩壊を予期すると経済は破綻する

収容所と市場社会の違いは

収容所でのマネーサプライは赤十字だった

ということだ赤十字人道支援だが

市場社会は中立ではない


貨幣の価値は信頼にある

だから支配者は自分の顔を貨幣に刻みこんだ

大衆から何かを毟り取ろうとしているのは

いつの時代も主に男である

中央銀行は表向き政治とは独立だが

実際は政治の影響を受ける

ビットコインは既存の権力や政治とは

切り離されたものだが

著者の考えは今も昔も通過と政治は

切り離せない

国家の保護無くして通貨は守ってもらえない


キリスト教ユダヤ教イスラム

一神教の3大宗教は人間は自分たちを

賢いと思っている


どうしたら、全ての人が地球の資源に

責任を持ち、それを社会に欠かせない

ものと考えられるようになるだろう


金持ちと権力者は環境の民営化を進める

のは政府に首を突っ込まれるのが嫌だから

彼らが支配しているプロセスが民主化

されると困る、しかも、商品化の過程で

地球を所有できることになる


権力者が好きなのは「全ての商品化」

「全ての民主化」が著者の主張


HALPEVAMがもし本当にあって

あなたは、そこで仮想現実の生活を送れる

仮想現実は貴方の欲望に合わせてくれる

そんな世界があったら貴方はそこの

住人になるだろうか?

本物の幸福を味わえる可能性のある

人生とは何者かになるプロセス

満足と不満の両方がなければ本物の

幸福を得ることはできない


「自分の身の回りで、そしてはるか遠い世界で

誰が誰に何をしているのか?」

 


●本書から得られた新しい知識

8万2000年前、人類は言葉を発するようになった

1万2000年前、農耕革命、経済はここで生まれた


クレジットの語源はラテン語の「クレーデレ」

信じるという意味


アメリカ先住民に天然痘を染み込ませた

もうふをプレゼントして地域を根絶やした

オーストラリアもアメリカも侵略者から

殺されるよりウイルスに感染して死んだ人が多い


献血が有償の国と無償の国では

無償の国の方が多くの人が集まる


16世紀ごろ利子ができた


狩人のジレンマ

集団で鹿を仕留めれば家族がご馳走

にありつくが失敗したり集団の中の

一人がヘマしたら鹿を逃してしまう

簡単にウサギを仕留めて一回分の

食事にしてしまおうかと考え

集団の一人がウサギに注意を向けたら

鹿を仕留めることはできない

 


●本書に出てくる格言

労働手段つまり機械や装置は

人間に服従を強いる

機械が人間に完全にとって代わる前に

「危機」を発生させる仕組みが組み

込まれていて人間が生産から全て

排除されないよう防いでくれる

マルクス


お前達を同化する、抵抗しても無駄だ

ーボーグ(スタートレック)ー


私たちの孫の時代になれば

金銭を貯め込む習慣はある種の病気だと

思われるようになるだろう

ジョン・メイナード・ケインズ

社会主義の問題は話が進まないことだよ

オスカー・ワイルド

満足した豚より不満な人間の方がいい

満足なバカより不満なソクラテスの方がいい

もし豚なりバカなりがそう思わないとしたら

それは自分のことしか見えていない

ージョン・スチワート・ミルー

 


●本書で得られた気づき

ラドフォードの記録は興味深いが

著者が読者に投げかけているのは

共有する経済だと思う

人と人が分かち合う世界

昔は当たり前だったんだけど

 


●今までの自分の考えと違ったところ

 


●本書の内容で実行してみたい事

なんでも商品化に少し疑問を持ってみる

本当にその商品は人を幸せにしてくれるだろうか?